読売新聞の人気連載「医療ルネサンス」の記事を読むことができます。
- 標準
- 拡大
【いのちの値段】「適正」を探る(6)「看取り」のはずが回復
脳
この病院には、長期入院の高齢患者が入る「療養病床」(146床)がある。
救急病院で、夫妻は
夫妻の心が乱れたのは、てる子さんが小さなゼリーを口にふくんだ時、喉仏がかすかに動いたからだ。十分な栄養ではないが、口から食べられるうちは食べてほしい。親のいのち、簡単には諦められない。
転院時の書類の引き継ぎ事項には、「お看取りで」と書かれていた。
ところが、信じられないことが起きた。転院後、高カロリーの輸液を一時的に入れて体力をつけ、ベッド上に座る練習や、とろみをつけたお茶をのみ込む訓練を続けると、てる子さんがみるみる回復したのだ。ペースト状の煮物や焼き魚も食べるようになった。ひ孫には、「よう来たな」と笑顔まで見せる。諦めなくてよかったと夫妻は思った。
有料登録は月額418円(税込)です。