医療ルネサンス
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【いのちの値段】対話のカタチ(4)生活の視点で治療を楽に

【いのちの値段】対話のカタチ(4)生活の視点で治療を楽に

タクシーを降り、妻に支えられながらクリニックの玄関に向かう夫(右)(川崎市で)=奥西義和撮影

 元公務員の夫(79)は、還暦を前に都内から緑豊かな川崎市のマンションに転居した。病院だけは、元の自宅に近い大病院へ毎月、通った。信頼できる循環器内科医がいたからだ。

 転居後、元々の心臓病に加え、腰の背骨(腰椎)の 狭窄きょうさく 症やパーキンソン病などに相次いで襲われた。2016年春には、肺炎で入院もした。大病院には30超の診療科があり、受診先や受診日が増えていく。整形外科、神経内科、呼吸器内科、眼科、皮膚科……。

 処方薬も合計で21種類になった。心臓への負担を減らす薬、ステロイドなどに加え、痛み止めやしびれを和らげるビタミン剤などが追加された。

 専門医が集まる大病院という安心感はあるが、通院の負担も大きい。通院日は妻(74)と一緒に午前4時に起き、午後6時に帰宅する。翌日と翌々日は疲れが出て、トイレに行く以外、起きあがれない。

 支払った医療費は月1万5000円ほど。大病院まで約1時間のタクシー料金は往復2万円弱で、約8万円になる月もあった。

 16年秋、夫妻の頑張りも限界を迎えた。今度は糖尿病が加わり、糖尿病・内分泌内科の医師から、地元でかかりつけ医を見つけるよう求められたのだ。血糖値の急な変化に備える必要があった。渋々、地元にある「多摩ファミリークリニック」院長の大橋博樹さん(43)を訪ねた。

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