医療ルネサンス
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図書館の力(3)がん情報を点訳・音訳

図書館の力(3)がん情報を点訳・音訳

点訳された図を触って確かめる平井さんと職員たち(堺市の点字図書館で)

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点訳されたがんの冊子。腸の図を確かめる

 見える人は、情報は世の中にあふれていると思っている。目の見えない人にとっては、そうではない。よい情報も、悪い情報も、入ってこない――。

 2014年にがんで他界した堺市立健康福祉プラザの点字図書館長・岩井和彦さん(当時65歳)が のこ した言葉だ。視覚障害者であり、大腸がんで10年近い闘病を経験していた。

 「情報のバリアフリーを訴え続けた人でした」。館長を引き継いだ 原田はらた 敦史さん(47)は思い返した。

 視覚障害者は、病気になっても自分で情報収集するのが難しい。録音図書や点字図書に医療の本は限られているからだ。社会の偏見もある。岩井さんは、がんの検査結果を聞きに一人で診察室を訪れ、医師に説明を拒まれたことがある。「画像は見える人にしか理解できないでしょう」

 悔しい体験が岩井さんを活動に駆り立てた。12年秋、国立がん研究センターと協力し、部位別の標準治療を解説した「がんの冊子」の点訳と音訳を始めた。

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