ド素人のRPG制作現場潜入レポ

~⑥悩み多き芸術家 グラフィッカーのお仕事~

こんにちは。
ケムコ社員Nです。東広島は寒いです。広島はおそらく日本有数の南北寒暖差が激しい県じゃないかと思います。
瀬戸内気候で温暖と思いきやそれは沿岸部だけの話で、中国山地にかかる県北では毎年道路脇に雪の壁ができるレベルの積雪があります。
ケムコが位置する東広島市(西条)というのは広島市から30キロくらい離れた地方都市で、いちおう県南に位置するはずなんですがなぜかここだけ県北なみに気温が下がるという謎の特異点となっております。
まあ寒いのはIT業者的にはサーバ用の冷房代とか下がっていいんですけどね。ですけどね。 我々そんなにサーバないですしゲーム業者の生命線であるマンパワーをウォームアップするのに寒い環境は普通に過酷です。
なぜそんな寒い場所にケムコ(ゲーム事業)があるかというとボスんちが近いからという噂もあります。

【ゲーム制作における一般的な職種一覧】

☑プランナー(企画)
☑ディレクター(監督)
☑プログラマー(制作)
☑ライター(作文)
□グラフィッカー(作画)
□コンポーザー(作曲)
□ボイスキャスト(声優)
□デバッガー
□マーケター

今回はグラフィッカーですが、この呼称はたぶん一般的には正確じゃありません。
というかケムコ的にもこんな呼び名は無いんです。
その根本的原因は絵を描くという作業に複数の技術・工程が存在し、さらに分業による専門職もたくさん出てきているからですね。
今回「ゲーム産業において絵を描く人」をまとめて「グラフィッカー」と定義しておくのは、コンピュータグラフィック(CG)という呼び名が定着し、 一般的にグラフィックを作る人としてイメージが近かろうという筆者の心づくしです(褒めて)。なので今回は色んなグラフィッカーを紹介していくことになるでしょう。
あ、その前にひとつ大事なことを。

みなさんCGって何か分かってます?

CGとは

コンピュータで描いた絵のことです。

こんなナメた進行をしてるといずれ偉い人からぶちまわされそう(*ぶちまわす・・・暴力や罵倒の語彙が少ない温厚な方言である広島弁「ボコボコにする」「再起不能にする」「滅多打ちにする」などを包括的に表現する唯一に近い言葉)なんですが、それでも筆者は一般的には以下のような誤解があると思っています。

誤解1 「CG=3Dコンピュータグラフィック」
誤解、というか、CGという言葉の誤用として一番ありそうなのがこれ。
まあ実際にポリゴンやらテクスチャやら駆使して作る3DCGはCGだし、「すりーでぃーしーじー」と毎回呼ぶのも面倒なので気持ちも分かります。 が、CADで出力した精巧な建造物の3DCGも、iPadで描いた平面の絵画も、等しくCGです。
誤解2 「CG=フルデジタルグラフィック」
CGは100%コンピュータを使って作ったデジタルグラフィックで、コンピュータを通さない作業は一切ないのか・・・と言われたらそれもNOです。 むろん現代においてフルデジタル作画の環境はかなり整っていますが、原画を紙に描いたのちコンピュータ上でクリンナップ、着色、効果付けを行ってCGを作っている方もたくさんおられます。
誤解3 「CG=プログラマーが手で数値を打ちこんで作ったグラフィック」
筆者は最初こう信じてましたが何か。
というのも、昔パソコンゲームの画像ファイル(と思しきもの)をエディタで開いたときに謎の文字列がだーーーっと表示されるわけで(バイナリデータ=機械が読むためのデータ羅列を無理矢理文字にしたための現象)、 これをゲーム作ってる人は理解したうえでつくってるのか・・・と思ったものです。
もっとも、画像作成ソフトなんてなかった時代は確かにプログラマーが0,0,0,0,0,1,1,1,1,1,0,0,0,0,0,0・・・とか打ちこみながらつくってたはずなんですけどね。
誤解4「CG=ドットを1つ1つ打ちこんで作ったグラフィック」
誤解3に似ていますが、これもかつてはそういう時代があったわけです。
画像作成ソフトはあったけど、まだスキャナやペンタブレットといった機材が貧弱で、モニタの画素数も今のスマホ以下・・・といった時代ですから、 ドット1つ1つの持つ意味が今よりずっと大きく、1つ1つ丁寧に打ち込む必要があったのです。
その結果、ドット絵という一種独立したアートが生まれ、粗いドットで豊かな世界観やとんでもない美少女を描く技術者、否、芸術家たちが生まれたのです。
ドット絵全盛の時代は過去のものになりつつありますが、「8ビット風」といった名目でドット絵を採用するゲームは今でも根強く出続けており、その独特な味わいに未だに惹かれる人が多いことを示しています。
誤解5「CG=なんかすごいつくりもの」
ぶっちゃけコレが一番多い理解なんじゃないでしょうか。
信じられないほど美しい風景もCG。驚くべき決定的瞬間もCG。あの子の可憐なほほえみも全てCG ・・・手の届かない光景への憧れと疑念をこめて「それCG?」「どうせCGでしょ」などとしばしば囁かれているようです。
この評価にはCG技術を使えば何でもできるんでしょという過大評価も混じっていると思います・・・いや確かに技術者の腕が伴えばどんなすごいCGだって描けるでしょうけど、 それは結局コンピュータ使おうが何だろうが天才はすごい絵を描くってだけの話でしょう。
・・・と断じると嘘になるので正直に言えば、CG技術の革新によって、ずぶの素人でも合成写真や3Dアートなどを手軽に作れるようになったのは確かですし、 ちょっとソフト操作に慣れたくらいの人が商業向けに絵を納品することだって別にないことじゃありません。 筆者もその程度の腕前ですが、工期不足のため一部のCGを自作して受け持ちの作品に実装したことありますしね。
こうして「誰でもすごいCGが作れる」とは言わないまでも「ある程度慣れれば誰でもある程度のCGが作れる」時代になりました。そのおかげで色んな影響も出てきているのですが、それは後で解説。

ここまで描いて既にお気づきかと思いますが、かくも誤解が多い理由は、CGというものが多様なジャンルや工程を内包しておりそれに関わるスキルも多種多様であるためといえます。
だから、CGを描くグラフィッカーという方々にも、実は多種多様な人材が含まれることになります。
ではゲーム産業、特にRPGに関わるグラフィッカーにはどんな人がいるのか見てみましょう。

いろんなグラフィッカー(ほんの一例)

既述のようにグラフィッカーは多種多様ですが、その中でも取得者が多いスキルセット・そうでないスキルセットがあります。
そんなわけで以下、色んなグラフィッカーをカードゲームのごとくレアリティ付き(*筆者の独断と偏見による)でみていきましょう。

キャラクター絵師/人物系(ノーマル)

ゲームの登場人物、特にポスターやタイトル画面、ゲーム内の会話シーンに大きく出てくる立ち絵(表示範囲によってフェイスCG、バストアップCGなどとも)、 あるいは特別なイベント用に表示されるキャラクターメインの一枚絵(イベントCG、スチルなどとも)を描く人のことです。
実はこの仕事には原画(線画)塗り(CG加工)で全く別の技能が要求されます。原画についてはデッサン力や絵柄のオリジナリティなど主にアナログ寄りの技能が要求されますが、 塗りについては色彩感覚や塗りの技法に加えて加工に用いるデジタル機材やソフトの機能を熟知し美しくクリンナップすることが必要になるのです。
両方のスキルを備えて自前でやっている人もいますし、片方が得意な人をそれぞれ揃えて分業して制作している所もあります。
分業する場合、原画担当者さんを「原画家」や「イラストレーター」と呼び、塗り担当者さんを「CG」や「グラフィッカー」と呼ぶことも・・・ たぶん単に「グラフィッカー」と言うと、世間ではこの「アナログ的なものをCGとして完成させるデジタルオペレーター」のことを指すことがかなり多いと思います。
ちなみに、人物といっても得意不得意は絵師さんごとに異なり、例えば女の子専門、おっさん専門といった間口の狭い内容で戦っている方もおられます。

キャラクター絵師/モンスター系(ノーマル)

作業内容やスキルはキャラクター絵師と何ら変わりませんが、得意とする描画対象がモンスターなど怪物系である方々です。
読者の想像力、恐怖心そして闘志をかきたてる様々な異形の生物たちを描くのは、人物画とはまた違った技能や才能によるものになります。 特に固い鉱物的描写や生々しい生物的描写など様々な描写技法と、それらをうまく組み合わせるコーディネート力・豊かな想像力が必要になります。
言うまでもなく、大量のモンスターが跳梁跋扈するRPGではきわめて大事なポジションですが、ケムコに限って言えばモンスターの大きな画像はあまり出ないため、 ドット絵師(後述)がモンスターデザインを兼任しているか、あるいは人物系の絵師がモンスターも一緒に描いているということも多いようです。

建物、メカ等の無機物絵師(レア)

細分化していくとキリがないのですが、無機物絵師はまた特別な技能を要するため特筆に値します。 こういったものは単に絵が上手いというだけでなく、描画対象の構造や様式に対する深い知識が必要です。 また、最終制作物が2次元的な絵であっても、複雑な構造や構図を再現するために、複雑なパース(パースペクティブ、遠近法)の図を作成したり、 下書きとして3Dモデルを作成し、そこから絵を起こしたりといった特殊な技能が必要になってきます。
さらに一歩進め、建物や地形などの光景を絵に起こす背景絵師さんもいらっしゃいます(都市遠景グラフィックや立ち絵バックに使用)。 この辺のスキルはキャラクターよりもワンランク敷居が高いとみなされがちで、ゆえに重宝されます。

全部自分でやる人(スーパーレア)

・・・世界観からキャラからメカから何から全て自分で描いて塗ってしまう人もいます。 特に、人物や器物の雰囲気が高次元で調和した「独自の世界」を作れてしまう絵師さんは、いっそ全部おまかせしたほうが統一感のあるものになるのです。 ゲーム産業ではないですが、たとえば昔の漫画家さんやアニメーターさんは全て自分で描いておられたわけで、鳥山明先生や宮﨑駿先生などはすべて「一人で世界を描ける」実力を備えておいでです。 すごすぎて鼻血が出そうですが、正直そういった方々は常人では考えられない量の作画作業をこなす力量を備えておいでなので、軽々に「目指してみる」なんてとても言えません・・・。

コンセプトアーティスト(レア)

こちらもある程度「何でも描ける人」ではあるのですが、絵を描く目的がちょっと違います。
コンセプトアートはゲーム実装用の素材じゃなく、ゲームの世界観設定に関する打ち合わせ時のざっくりした資料や、 本番用のグラフィックを作るための根本・お手本とするために作成される、そのゲーム世界を象徴するようなものを詰め込んだイラストのことです。

「戦争ものでドラゴンがいて魔法はかなり邪悪な雰囲気」
「木と水を中心とした有機感あふれる感じで主人公はエルフ」
「このゲームでは腕に装着する火薬やら杭やら色々仕込まれた巨大武器を改造して闘う 『グラップルギア』というシステムが大事なのでそれを装備して巨大な敵(オーガ系)と対峙してる感じが欲しいです!!」

といった、 いわばこの世界で一番見せたい絵というのをまず描いてみて、そこから詳しく話を進めていこう・・・という進め方をするときに描いてもらいます。 コンセプトアートは以降の全てのアートの基本になるばかりか、シナリオの雰囲気やキャラの性格、ひいてはシステムや売り方にまで影響を及ぼしかねない非常に大事なものなので、 大手の会社さんは専門のアーティストを雇って試行錯誤を繰り返すらしいです・・・ええ伝聞です残念ながら。 そういう時間的・金銭的余裕が全てのゲーム会社に備わっているわけではありません。 ケムコでもご多分にもれず、コンセプトについては文章ベースでイメージを固めて、あとは一気にそれぞれのグラフィッカーさんが動くというパターンが多いですね。

●ドット絵師(スーパーレア)

ペンで線を引いたり筆で色を塗ったりするのとは明確に異なる異質なアーティストがかれらです。 先程言ったように、彼らはマウス等でドットを1つ1つ打ち込んで絵を描きます。
・・・もちろん拡縮や線描画・塗りつぶしなどいろんな便利機能は使うことになりますが、 最終的な微調整や「どう点を置くのが最終的に綺麗に見えるか」といったところはもうドット絵師独自のセンスというか勘としか言いようがない、まさに職人芸となっております。 需要が減じていることから絶滅が危惧されている彼らですが、これも前述の通り確実に一定の需要はありますので是非とも増えていただきたい。
特にケムコのRPGの多くは、フィールド描画、キャラ描画、モンスター描画に昔ながらのドットアートワークを採用していますので、ドットで世界を描ける人はとても大事なのです。 このコラム見てゲーム作りたいと思う人は9割いないと思うんですが、もしいたら是非ドット絵師めざしてほしいです。うちに都合がいいので。

●3Dモデラー(ちょいレア)

無機物絵師のところでちらっと出しましたが、3Dモデルを作る技術者さんです。
フル3Dのゲームでは、キャラにしろアイテムにしろ世界そのものにしろ3Dモデルで作らなければなりません。そういった時、3Dモデルを作り、それに絵を貼り付け、 それをポージングし動かす・・・といった技術を持つ彼らの出番となります(なお彼らの中でも色々分業があると思いますがよく知らないので割愛)。
なお、絵を描く技術とは別物なのでここでは絵師とは呼びません。ただし三面図を描いたりするのに基本画力は必要なことが多いです。

などなど。

世の中にはこんなにたくさんの種類のグラフィッカーがいます。ディレクターはそれぞれ何ができて何ができないのかを熟知した上で発注をかけなければなりません。
なお、ケムコ内部にはデザイナーチームというのがあり、絵師さんはデザイナーと総称されています。 中にはキャラが描ける人や建物・背景・ドットが描ける人など色々撮り揃っていますが、繰り返しますとケムコはパブリッシャーであり(中略)内部で ゲーム用グラフィックを大量に作るというケースは結構まれだったりします。

グラフィッカーの苦悩

グラフィッカーはとても大変な仕事です・・・これまで全部大変だっつってるやん
プランナーは膨大な仕様管理、ディレクターは人間関係とスケジュール、プログラマーは現場での制作責任が直接ふりかかる恐怖、ライターは山のようなテキスト書き・・・ええみんな大変です。 グラフィッカーの大変さ・・・大量の絵を描くがゆえの腱鞘炎、締め切りとの戦い、他のスタッフとの衝突、画力をどう向上させ自らの価値をどう高めるかという難題・・・これらはしかし、他の職種でも発生している話です。
しかし、グラフィッカーたちはちょっと別軸で困った問題を抱えています。
グラフィッカー余りすぎ問題です。

なんでさっきレアリティを書いたかというと、グラフィッカー・・・特にレアリティがノーマルなキャラクター絵師(というかキャラクター絵師のスキルを持つ、中でも塗りよりも原画の人)があまりに多すぎる現状があります。
一つには既に言っているように、ツールが進化したことでそれなりのものを納品できる人が多いこと。 そしてマンガやアニメの文化隆盛と、それらに憧れた若い人たちが気軽に参入できる同人文化、さらにはPixiv等のプラットフォーム・・・様々な要因から、 誰かがキャラクターを描きたいと願うことも、腕前をある程度まで伸ばすことも、 昔よりずっと簡単になってしまいました
もちろん、業界全体としては良いこともあります。多くの絵師さんが腕を競うことで全体的に質が上がっています。 さらに「絵を描く仕事」が一般的になるにつれ、そういった職業に対する偏見も減っていくことでしょう。

しかしながら、多すぎるライバルの中では、よほど光る何かがないと頭角を現すことは困難です。自分の絵で高給を取れるスーパーグラフィッカーの門はとても狭く遠いものになってしまっています
それどころか、混沌とした市場には良からぬ人々が暗躍する余地も生じてしまっており、様々なトラブルが起きているようです。 中にはとんでもない安い条件で仕事を受注してしまったり、不利な契約によって自作品の権利をすべて失ってしまったグラフィッカーさんもいると聞きます。
グラフィッカーはクリエイティブなお仕事です。大成するにはとにかく研鑚を重ねるのが第一ですが、社会一般の手続きやら規則やら様々な圧力から解き放たれて創造性を飛翔させることも時には重要です。 これが時に絵師は創造性だけで生きていける、社会の面倒なしがらみを抜けて職人ライフを送れるといった誤解を生み、結果として、 しがらみ脱出を志向した若いグラフィッカーの卵たちが社会通念や常識感覚のないまま腕前ばかり上げてしまい、混沌とした業界のなかで痛い目を見る・・・というパターンが、少なからず発生しているようです。

現状、社会経験豊富な企業グラフィッカーたちや、自ら辛酸を舐めたプロのグラフィッカーたちが、草の根的に自己防衛や業界常識の知識を拡散していますが、 根本的には彼ら若き絵師の大群をわれわれ業界が一丸となって正しく導いていく必要があるのだと思います。 業界の一翼を担うものとして、ケムコも頑張っていかなくてはなりませんね。
というわけで会社の偉い方、次の作品のグラフィック発注費用3倍くらいにしてもらえないでしょうか。

筆者のグラフィッカーに関する思い

現状はディレクター兼プランナー兼ライターのような立場で動くことが多い筆者ですが、前回書いた通り、高校の頃は絵師になりたいと思っていました。

筆者はちょっぴりイタい少年だったため自分はやれば何でもできると思っていたフシがあり、このため周辺の友人に絵が上手いのが多かったため俺にもできると発奮してしまったのですね。 さらに折しもラノベ流行(「カッコいいキャラを描きたい」要求の増加)、インターネットの普及(「高校生でもホームページを持てる」環境の出現)、 テーブルトークRPGへの傾倒(RPG的な冒険をアナログで遊ぶゲームで、色々手作りのため絵が必要なケース多々)、 女子の多いサークルへの所属(いわゆる「腐女子」を含む絵のうまい女の子がたくさんいました・・・)、まあ要するに青春をオタク方向に突っ走る途上で自然に絵を描くということをやっていたわけです。

筆者はその頃から、PPC用紙に書き溜めた自分の絵を、今に至るまで残しています。

正直見返すのは拷問です。

なぜ当時こんなもんで得意になっていたのか。

そして今でも1ヶ月ぶりに見る絵はひどいものだったりする。

ぶっちゃけ当時から何の進歩もしていないのではないか。

そういう恐怖症の発作を乗り越えつつ冷静に見ると、たぶん、おそらく、自分自身の絵は最初よりはかなり見られるようになっています。とおもいますメイビーきっと
しかしながらプロとしては到底使えないレベルです。姿勢の悪さからか絵全体が斜めに歪んでいく悪癖。 ちゃんとデッサンを勉強したわけじゃないためリアルな肉体や複雑な構図を実現できない未熟さ。 「いちおう」手や横顔は描けるけど「いちおう」でしかない絵的な説得力のなさ。 オンラインTRPGギルドのゲームマスターから「おまえの絵には魂がない」と言われたことは今でも記憶に残ってます。

思うに、あのまま必死に何かを描き続けていれば、魂はこもったのだと思います。
何かをひたすら描き続ける、うまくなりたいと願い続けることができれば、その執念こそが「魂」となり、 絵の説得力として浮き出ていったはずだと思います。
負け惜しみのつもりではありません。
筆者にはその執念が欠けていました。何でもできるという慢心から「絵でなくてもいい」という逃げ道を常に抱いていたに違いありません。そんな筆者がすぐに挫折したのは当然だと思っています。
そして、大学時代に絵の時よりも大きな挫折を味わい、今思い返しても理解不能なレベルの執念でもって「物書き」に傾倒した結果、いまここに立つに至ったという経験が、直観となって筆者にこう訴えかけるのです。

クリエイティブな仕事で伸びるためには、とにかくその仕事をどこまでも極めようと、貪欲に学習し、反復し、発表しようとする執念こそが必要であり、 それを持ち得るかどうかも立派な才能なのである、と。

今回のまとめ

  • グラフィッカーには様々な技能、様々な専門職がある
  • 絵師が増えている状況には業界側からの対策も必要
  • 執念が絵をうまくする
  • 次回作の予算が3倍になる
次回「コンポーザー」について・・・ヤバいです。何がヤバいかってケムコにプロの音楽屋さんは一人もいないってことです。 というわけで次回は昔バンドをやってらしたボスに丸投げを・・・だめですかそうですか! というわけでゲームに関わるサウンド周りをザクッと語る回にしたいと思います。
はたしてページはもつのか!?次回をお楽しみに。

※keitai-info@kemco.jp への応援イラスト(JPEGで200KB以下)入りファンレターもお待ちしております。

【06回 了】



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