総務省統計局から2018年2月、平成29年度賃金構造基本統計調査が公表されました。この統計を見ると、129に分類されている職種の年収が推計できます。ミシン縫製工の202.7万円から航空機操縦士(パイロット)の年収2047.3万円まで、その差は10倍以上。これほどまでに格差は広がっています。
気になるのは、どのような職種が低年収のところに位置しているのか。まずは傾向を見ていきましょう(母数は常時10人以上を雇用する全国の民間事業所49,893からのデータ)。
●月に180時間前後働いても年収300万円に届かないのは
年収(賞与含む)が300万円を下回るのは、129職種のうち12職種です。所定労働...
ジャンル
お金
総務省統計局から2018年2月、平成29年度賃金構造基本統計調査が公表されました。この統計を見ると、129に分類されている職種の年収が推計できます。ミシン縫製工の202.7万円から航空機操縦士(パイロット)の年収2047.3万円まで、その差は10倍以上。これほどまでに格差は広がっています。
気になるのは、どのような職種が低年収のところに位置しているのか。まずは傾向を見ていきましょう(母数は常時10人以上を雇用する全国の民間事業所49,893からのデータ)。
●月に180時間前後働いても年収300万円に届かないのは
年収(賞与含む)が300万円を下回るのは、129職種のうち12職種です。所定労働時間に月間の残業を加えた実質労働時間は、最短が保険外交員(146時間)、最長が営業用大型貨物自動車運転者(217時間)、平均すると182時間前後になります。うち月収が20万円を下回っているのは、ミシン縫製工(16.3万円)から洗たく工(19.8万円)の5職種。
また12の職種のうち、国家試験が必要なのは理容・美容師だけです。平均年齢が31.2歳と統計の中でも最も若いところを見ると、理容・美容師さんはある程度経験を積むと、独立して自分のお店を持つか、離職するかの岐路に立つようです(本調査は、雇用者に支払われた賃金を取りまとめています)。
ちなみに、統計には特有の用語が使われています。たとえばスーパー店チェッカーはレジ業務、給仕従事者はウエイトレスやウエイター、ソムリエやホール係などの総称。ミシン縫製工と洋裁工の違いは、ひたすら縫製だけを行うのがミシン縫製工で、作図から裁断、縫製仕上げまで一貫して行なう仕立て職が洋裁工とされています。
ということで12職種を年収の少ない順に並べると、以下のようになります(以下、年収はすべて、総務省統計局・平成28年度賃金構造基本統計調査の数値(10人以上、男女の値)をもとに独自で推計したものです)。
<順位:職種/推定年収(年齢・勤続年数):所定内実労働時間数+超過日労働時間数>
1:ミシン縫製工/208.1万円(44.8歳・11.9年):178時間
2:洋裁工/231.9万円(47.3歳・10.4年):181時間
3:ビル清掃員/240.9万円(52.6歳・7.7年):175時間
4:スーパー店チェッカー/251.0万円(41.8歳・8.3年):177時間
5:調理士見習/252.3万円(46.0歳・6.4年):182時間
6:洗たく工/254.3万円(47.5歳・9.6年):183時間
7:キーパンチャー/275.6万円(39.3歳・11.4年):166時間
8:用務員/287.0万円(42.0歳・9.7年):172時間
9:軽電機器検査工/289.4万円(55.3歳・9.2年):176時間
10:看護補助者/292.3万円(45.1歳・6.5年):162時間
11:理容・美容師/295.8万円(31.2歳・6.7年):183時間
12:給仕従事者/296.2万円(38.9歳・6.5年):186時間
●ニュースで話題の、あの職業の実態は!?
この後、年収300万円台の前半には、待遇改善を求める声の高いホームヘルパー(313.5万円)、福祉施設介護員(329.6万円)、保育士(342.1万円)、幼稚園教諭(341.6万円)などが並びます。いずれも資格の必要な職業です。
また、気になるのは、300万円台に国家資格や知事免許の必要な職業が目につく点です。意外なところでは、栄養士(345.5万円)、歯科衛生士(342.5万円)、介護支援専門員(ケアマネージャー、377.4万円)で、決して高いとはいえません。理学療法士、作業療法士(404.9万円)でようやく平均年収ラインです。これから資格取得を考えている人は、ぜひ参考にしたほうがいいでしょう。
●平均年齢が若いのは? 人数の多い少ないは関係あるの?
ところで、平均年齢の最も若い職種は理容・美容師の31.2歳でしたが、2番目はプログラマー(416.0万円)の32.1歳(勤続6.5年)で、3番目は理学療法士、作業療法士の32.7歳(勤続5.7年)となります。
年輩世代が多いのはタクシー運転者(332.0万円)の59.3歳(勤続9.6年)。続いて自家用乗用自動車運転者(323.3万円)の57.9歳(勤続6.1年)、そして大学教授(57.6歳・勤続16.8年)です。
働いている人の数の多さからいうと、福祉施設介護員の81.3万人がダントツ。続いて看護師の61.5万人(478.2万円)、百貨店以外の販売店員の55.7万人(328.2万円)がトップ3となります。
雇われている人口の少ない職業は、不動産鑑定士(777.7万円)の130人、精紡工(458.3万円)の700人、弁護士(1028.9万円)の1020人。 ちなみに年収トップは医師(1232.6万円)で77330人です。
<参考サイト>
・総務省統計局:平成29年度賃金構造基本統計調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001098975&tclass2=000001098977&tclass3=000001098985&second2=1
ジャンル
お金