終身雇用も崩壊して久しい今日この頃、誰もが転職や再就職に無縁とは言い難い世の中です。40代、50代の働き盛りでも会社が倒産、リストラなどで離職の憂き目に追い込まれる方も少なくありません。
転職業界では、かつては35歳限界説なるものが囁かれていましたが、昨今では労働人口自体が減ってきて、もっと上の年齢層も雇うようになり始めているとか。それでも中高年の転職、再就職は若い人よりは難しいといわれていますが、年齢だけがネックではないとの指摘も出ています。
●新卒とは違うという意識を持って業界&自己分析を
年齢だけがネックではない、と言っても実際に求人広告サイトを見てみると年齢制限の縛りがあるのは否めませ...
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仕事/会社
終身雇用も崩壊して久しい今日この頃、誰もが転職や再就職に無縁とは言い難い世の中です。40代、50代の働き盛りでも会社が倒産、リストラなどで離職の憂き目に追い込まれる方も少なくありません。
転職業界では、かつては35歳限界説なるものが囁かれていましたが、昨今では労働人口自体が減ってきて、もっと上の年齢層も雇うようになり始めているとか。それでも中高年の転職、再就職は若い人よりは難しいといわれていますが、年齢だけがネックではないとの指摘も出ています。
●新卒とは違うという意識を持って業界&自己分析を
年齢だけがネックではない、と言っても実際に求人広告サイトを見てみると年齢制限の縛りがあるのは否めません。となれば、狭い門へ大勢の希望者が集まってくるのも必然でしょう。ライバルは多いけれど家のローンや生活費、老後の貯金など背負っているものもたくさんあり、給料は一定ラインから下げたくないが、どこかで妥協しなくてはいけないのではないか…就労条件について悩む方はかなり多いようです。
求職者個人の年齢や職種、経験、時期的な問題、運などもあって、一概にこうという答えは導き出せませんが、実際に転職・再就職を経験した人に話をうかがってみました。
企業で秘書を務めていた50代女性のケースです。寿退社で家庭に入り、その後子どもが自立したから何かできることはないかと再就職先を探したとのことでした。しかし、離職期間が長いのもあり秘書としては求人がないと、考え方を変えたそうです。秘書としてではなく、秘書の経験を活かせる方法はないかということで、裕福な高齢者がメインの客層である仏具屋での仕事が決まりました。彼女の元重役秘書の丁寧な対応が接客能力に高く評価されたそうです。
就職支援関連で働く方々が唱えるのは、履歴書を書くよりもまず自分に何ができるのか、冷静に分析してみるようにとのことでした。自分はこの職については詳しい、あるいはこれしかできないとの思い込みから応募の間口を狭くしてしまい、結果的になかなか就職できないというパターンがよく見られるそうです。前職で学んだことを他で活かせる道がないか調べてみるのも成功への助けになるかもしれません。
●能力もキャリアもあるのに3分で面接が失敗に終わった訳とは
次はキャリアコンサルタントのBさんからうかがった話です。その日のクライアントは、ある有名企業を退職した、再就職希望の50代男性でした。経歴もアピールポイントも十分、雇用側にも良い人材ではと送り出すと、面接開始予定時刻の3分後にクライアントから電話。「たった今、面接が終了した。他の会社を探した方が良いと断られた」と嘆息していたそうです。
予想外の展開に、何が原因だろうかと話し合ってみると、クライアントの言葉にBさんも呆れかえってしまったとのことでした。なんとこの男性、挨拶もなく入室し、面接官が促すよりも先に椅子に座ってふんぞり返っていたそうなのです。あたかも、お前のような若造に俺の度量が測れるのかと言わんばかりに…。
中高年の再就職希望者が敬遠される理由は、プライドの高さではないかと言われています。はじめの挨拶と横柄な態度でみそをつけて、せっかく面接にこぎつけたのに、チャンスを失ってしまうケースはしばしば起きているそうです。毎日何人も出会う面接官からすれば、「初見の印象の悪さ」=「人物評価」にせざるを得ないとか。当たり前の話ですが、しっかりとした挨拶と誠実な態度をとるように、とBさんからのアドバイスでした。
●時には内定を蹴る勇気を、頭もスタンスも切り替えて
40代での再就職に四苦八苦した経験のある女性Fさんからはこんな話をうかがえました。失業保険の給付期間も折り返し地点が迫ったある日、ようやく内定の通知が届きました。喜んだのもつかの間、先日面接に訪れた際の社内の雰囲気が頭をよぎったそうです。どんよりと湿ったような重苦しさが漂うオフィス、観葉植物もオリーブ色の絨毯も社員たちもどこか暗く見えて…ここって社員同士のコミュニケーションはとれているのだろうか。
結局Fさんはもう少し頑張ってみようと内定を辞退したそうです。以前の職場もモラハラ的人間関係の悪さに辟易したのに、同じようなところに勤めて同じような理由で辞めることになったら目も当てられませんとのことでした。
企業側が社員を選ぶように、雇われる側も企業を選ぶ権利があります。ようやく得た内定であったとしても、相手側に不信感を覚えた時には思い切って辞退をする勇気も必要のようです。ようやく再就職した先がブラック企業で心身ともに疲弊しつくしてしまったら元も子もありません。
●腐らず、焦らず、ためらわず。
前出のBさんは言います。「面接まで行って落ちたとしても、あなたという人間が不合格だったのではありません。企業の需要にマッチしなかっただけです。事実面接官をしていた頃は、惜しい人だけれど今回求めている人材タイプではないと不採用にするケースもしばしばありました」
一寸先が読めないこんな時代だからこそ、「明日は明日の風が吹く」の精神で、自分を追い詰めすぎないような自己管理も大切だとのアドバイスでした。終身雇用の復活は夢のまた夢かもしれませんが、どんな年齢でも再出発のチャンスが巡ってきやすい時代が来てほしいものですね。
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仕事/会社