●話題のアドラー心理学、そのキッカケは「勇気の二部作」
学校や職場の成績、スタイルやファッションなど、まわりの人との比較で悩んでしまうことはありませんか?ひとときのKYという言葉に象徴されるように、周囲の空気を読まなければならないストレスなど、悩ましい問題の多くは対人関係に帰着します。
人から認められたいという気持ちは、社会的な動物である人間の根本ともいえる心情です。しかし、人の目を気にするあまり本来の自分を見失っていく、現代社会においてはそんな風に精神を病んでしまうことが少なくありません。
人づきあいから自由になりたい、他人の目を気にすることなく生活したい、空気を読むことなく過ごしたいという...
ジャンル
人間関係
●話題のアドラー心理学、そのキッカケは「勇気の二部作」
学校や職場の成績、スタイルやファッションなど、まわりの人との比較で悩んでしまうことはありませんか?ひとときのKYという言葉に象徴されるように、周囲の空気を読まなければならないストレスなど、悩ましい問題の多くは対人関係に帰着します。
人から認められたいという気持ちは、社会的な動物である人間の根本ともいえる心情です。しかし、人の目を気にするあまり本来の自分を見失っていく、現代社会においてはそんな風に精神を病んでしまうことが少なくありません。
人づきあいから自由になりたい、他人の目を気にすることなく生活したい、空気を読むことなく過ごしたいという同時代的な悩みとシンクロするように、「トラウマなど存在しない」「嫌われる勇気を」「性格は変えられる」といった、これまでと違った視点からの幸福論を掲げたアドラー心理学が静かなブームとなっています。
そのキッカケは、哲学者・岸見一郎さんと編集者・古賀史健さんによる『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』という著作になります。
2013年12月から版を重ね、日韓で100万部を売り上げ、「勇気の二部作」完結編に当たる『幸せになる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え<2>』は2016年2月に上梓されました。書店でのコーナー展開や、NHKの「100分de名著」でアドラーの『人生の意味の心理学』が取り上げられたことから、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
●「どうすれば幸福になれるのか」「いかにして生きていけばいいのか」
心理学というと、フロイトやユングが思い浮かびますが、アドラーは、第一次世界大戦の戦争体験などを通して、人間の心理の本質へ迫るべく、フロイトともに活躍した心理学者です。アドラーは、「劣等感の克服」を重視し、フロイトとは真逆のアプローチで相談者の悩みを解決するよう考えます。フロイトとは相反する考えに至り、また、ライバル視されたことから、アドラーはフロイトのもとを去り、「個人心理学会」という新しい研究グループをつくります。
心理学者というと専門的で難しい言葉に辟易とさせられたり、騙されているのではと錯覚する印象がありますが、アドラーは違いました。相談者に対して、また、講演においても、難解な専門用語をできる限り使わず、「どうすれば幸福になれるのか」「いかにして生きていけばいいのか」など、具体的なイメージでシンプルに伝える努力を惜しまなかったようです。
なにか問題が起きたら、その原因を探るのがフロイトに代表される心理学のアプローチです。原因を取り除くことで問題が解決できるという考えに対して、アドラーの心理学では、問題に対して、それはどんな目的にもとづいているのかを起点として問います。
たとえば、「モテない=恋人がいない」という悩み。常識的には、「容姿」や「性格」を原因にするかもしれません。アドラーは、「フラれるとキズつくことをさけるという目的」のために、「あえて告白しない」から「モテない」というように考えます。
私たちの考え方や行動は、どのような目的に向かっているのかによって変わってきます。「本当はどんな目的のためにこの行動をしているのかな?」「どうやったら、うまくいくかな?」と問いかけてみると、その考え方や行動の本来の目的を再発見する手がかりになります。
こんな時代だからこそ、常識的な見方やとらえ方から自らを解放し、アドラー心理学の基本的な考えかたを学び、幸せに生きる方法をシンプルに探ってみるのはいかがでしょう。
<参考文献>
・『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健著 ダイヤモンド社)
・『幸せになる勇気』(岸見一郎・古賀史健著 ダイヤモンド社)
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人間関係