辞める前に次の転職を決めよう

小松 俊明
小松 俊明
転職活動の長期化問題が深刻です。買収に伴う事業部縮小や、業績不振や会社倒産など、会社都合で退職に追い込まれた人は本当に気の毒ですが、中には金銭面で有利な早期退職プログラムに自らの意思で応募した結果、退職してから転職活動を始めたという人も決して少なくありません。

冒頭で述べた長期化問題というのは、ようは次の転職先を決める前に退職した人たちの新たな再就職が決まらないことを指しています。離職後3~6ヶ月しても再就職先が決まらないのは序の口であり、1年決まらない、2年決まらないという人も少なくありません。こんな非常事態を誰が予想したでしょうか。

「早期退職」のメリットは何か

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金銭的な魅力 vs キャリアの継続性

早期退職プログラムを導入する会社は、プログラムを社内に発表後、応募期間を短く設定します。また、応募が想定されている人数よりもかなり少ない数に募集枠を設定することで、社員の応募への心理を煽る手法をとる場合すらあります。自社の社員が会社へのロイヤリティーや仕事へのやりがいを感じていないことを見透かし、あくまでも金銭的メリットを前面に出して決断を急がせる手法を取る会社もあります。

確かに、金銭的なメリットは大きいでしょう。最近は昇給もボーナスもさっぱりだった事業環境であったにもかかわらず、早期退職制度に応募すれば給与の3カ月相当から、多いケースでは24カ月相当まで、通常の退職金に積み増して会社が払ってくれる場合もあります。まさに、大盤振る舞いといってもいいでしょう。

特に中高年で就業期間が長く、現在比較的高い給料をもらっている管理職社員にとっては、最も有利な算段がたつわけです。早期退職さえ決断すれば、思いもかけない大金が懐に入り込むのですから。どうせ辞めたいと思っていた会社ですし、未練もあまりないかもしれません。今後は役職を解かれ、給料も激減するかもしれなかったわけです。会社も業績不振であり、将来どうなるかもわからないのですから、ここはむしろ、手切れ金をもらって泥船から降りて、再スタートを切るのも悪くないと考えるのも、いたって自然な考え方と言えるのでしょう。

「辞めてから転職活動」の誤算

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失業期間が長期化するのは避けたい

実際、ビジネスマンの誤算は転職活動が長期化し、失業したまま再就職先が決まらないことです。つまり、思いがけず失業状態が長く続く場合があるということであり、その状態が不利に働き書類選考や面接に落ち続けることを意味しています。生活するためのお金には当面困らないとは言っても、失業保険の残存期間はすぐに迫ってきます。自分の商品価値も、時間の経過とともに一気に色あせていくのではないかという不安を感じる人もいることでしょう。

実際、離職後6カ月が過ぎてくると、企業からの扱われ方に、いろいろと変化の兆しがみられてくる場合もあるかもしれせん。たとえば、企業から提示される給料は前職の水準よりも2割、3割減は当たり前の話となり、下手をすると5割減という話も珍しくなくなってきます。足元を見ているのではないかと勘繰りたくなるほど、失業期間が長期化した人に対して厳しい対応をする企業は増えていきます。これでは、それまで築いてきたキャリアが壊れてしまうかもしれず、早期退職プログラムで得た退職金の加算金も、あっという間に失ってしまうことになりかねません。

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