東洋医学で二日酔い対策! 二日酔いに効くツボは?

山木 伸允
山木 伸允

頭痛・悪寒・吐き気……二日酔いの不快症状

二日酔いの原因とは?

お酒を飲む機会の多いこのシーズン。二日酔いの原因とは?

忘年会や新年会など、お酒を飲む機会が増えるこの季節。つい飲み過ぎて二日酔いに悩まされてしまう方も多いのではないでしょうか。

二日酔いは、お酒に含まれるアルコールの一種であるエタノールが過剰に摂取され、その吸収分解が滞った状態であると考えられます。体内に摂取されたエタノールは胃や小腸から吸収された後に血中へと取り込まれ門脈を通過し肝臓に運ばれます。肝臓内にあるアルコール脱水素酵素などの酵素がエタノールを酸化させ、人体に対し毒性を持つアセトアルデヒドという物質へと変化させます。

通常であればこのアセトアルデヒドは肝細胞中にあるアセトアルデヒド脱水素酵素により酢酸となり、最終的には無害な水と二酸化炭素へと分解されるようになっていますが、多量にアルコールを摂取するとアセトアルデヒドの酢酸への分解処理が十分になされなくなり、血中のアセトアルデヒド濃度が一時的に高くなってしまいます。この状態が二日酔いの一因であると考えられています。一般的には血中アセトアルデヒド濃度が0.5mg%以上になると頭痛や悪寒、いらだち、沈鬱状態、吐き気、嘔吐などの症状が発生するとされています。

二日酔いの原因はアセトアルデヒドではない?

しかし近年では、血中アセトアルデヒド濃度が低下してから二日酔いの症状が発生することなどから、アセトアルデヒドが直接的な二日酔いの原因ではないとする考え方が一般的になりつつあります。

過剰にアルコールを摂取すると肝臓が優先してその分解に働きます。そうすると本来寝ている間に起こる肝臓への糖の貯蔵が行われず、起床した時に低血糖状態となります。こうした状態が原因で交感神経系のホルモンが分泌されることが二日酔いの症状の原因であるとする説や、Thomas Jefferson University のOshinsky博士はネズミを使った研究からアセトアルデヒド分解後に発生する酢酸の過剰が頭痛の主な原因であると発表をするなどしています。

またこうしたことに加え、アルコールの利尿作用による脱水症状や胃酸の過剰分泌および胃壁が傷つくことによる胃の痛み・むかつき等のそれぞれ異なる原因が引き起こす症状を総合して二日酔いであると言うことができるでしょう。

二日酔いを防ぐためにはもちろんアルコールの摂取を控えることが前提になりますが、十分な水分補給や糖質をしっかり摂取しておくことが予防方法としては考えられます。

では、東洋医学的な観点から見ると、二日酔いとはどんな状態なのでしょうか? 二日酔いの予防法・対策法、症状の軽減に利用できるツボも含めてご紹介します。

東洋医学的に見ると「痰湿」状態にある二日酔い症状

一般的にお酒の飲み過ぎと言うと肝臓の機能を高めることが重要と考えがちですが、低血糖状態が二日酔いの一因であることから、東洋医学的視点ではまず「脾(ひ)」の働きについて考えておく必要があります。

脾は「胃」をはじめとする消化器の働きをコントロールしており、胃が作り出す食物から得たエネルギー「水穀の精微(すいこくのせいび)」を全身に送り出す働きも担っています。脾は他にもこの水穀の精微から「津液(しんえき)」という体液を生成します。津液とは体内の水分の総称であり、五臓のひとつ「肺」の作用により全身への運搬が促進されるのですが、同時に肺が余分な津液を膀胱に送り体外に水分を排出すると考えられています。

多量の飲酒は脾と胃を傷つけ津液の滞りを招くことになり、こうした状態を「湿(しつ)」と言います。湿は身体に病変を起こす六邪の一つですが、濁って粘り気があり、ますます津液を硬く滞らせる原因となります。こうした湿が身体にたまった状態を「痰湿(たんしつ)」と呼びます。痰湿の状態では大量に水分をとりたくなる、トイレが近い、疲れやすく少し動くだけで汗が出る、動悸や息切れがするといった状態だけでなく、頭痛・吐き気や嘔吐、食欲不振といった典型的な二日酔いの症状が発生します。

こうしたことから、二日酔いは東洋医学では痰湿という状態であると考えることができます。

また、アセトアルデヒドが分解されて発生する酢酸の過剰が二日酔いの頭痛が発生するという説に触れましたが、東洋医学的には酢酸は木(もく)の性質を持つ「酸」であり、酸の過剰は同じ木の属性を持つ五臓の「肝(かん)」の異常を招くと考えられます。肝が異常をきたすと血の上逆により頭痛やめまいが発生すると言われており、これは二日酔いの症状と一致しています。 

二日酔い予防・対策法・症状軽減に効果的なツボ

これらのことを踏まえ、ツボを使った二日酔いの予防法と症状軽減法を考えてみましょう。

東洋医学的に二日酔いは過度の飲酒により脾胃が傷ついた状態なわけですから、まずは脾胃の力を回復させ津液の流れを改善し、身体に溜まった痰を取り除くことが重要であると考えられます。

■「陰陵泉(いんりょうせん)」「豊隆(ほうりゅう)」
脾のエネルギーを補給する陰稜泉

脾のエネルギーを補給する陰稜泉

まずは脾の力を補うと考えられている「陰陵泉(いんりょうせん)」と胃の力を補うと言われる「豊隆(ほうりゅう)」をやさしくマッサージしてみましょう。

東洋医学の考え方では、この二つのツボを刺激することで体内に溜まった痰が排出され二日酔いの症状が軽減されると考えられます。

陰陵泉は脛の骨の内側を膝下から膝に向かってさすり、膝の内側にある骨の隆起の上にあります。このツボは骨の真上にありますので、強く押すと痛みを感じやすいのでやさしくさするようにマッサージしてください。

胃のエネルギーを整える豊隆

胃のエネルギーを整える豊隆

豊隆は膝の外側と両くるぶしを結んだ真ん中の点とを結んだ線の中央にある筋の上に位置しています。

 


■「風池(ふうち)」「百会(ひゃくえ)」
風池と百会は二日酔いの頭痛を軽減すると考えられている

風池と百会は二日酔いの頭痛を軽減すると考えられている

また、酸の過剰により引き起こされると考えられる頭痛には、停滞した肝の気を整える効果があると思われる「風池(ふうち)」へのマッサージが有効でしょう。風池は後頭部の髪の生え際で、耳の後にある骨の隆起内側にあります。またこの時、頭頂部にある百会というツボを押す事でさらに効果が高まると考えられています。

 
これらのツボへのマッサージを、お酒を飲む事前に、または後にでも刺激することで二日酔いの予防や症状緩和が可能だと考えられます。

二日酔いにならないようにするためにはもちろん飲み過ぎない事やしっかり水分を補給すること、空腹での飲酒を避けることなどが大切です。そうしたことを注意した上で上記のツボを刺激し、二日酔いの万全な予防を心掛けてみましょう。

※2ケ月以降から月額418円(税込)

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河合 蘭

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