運慶展

日本でいちばん著名な仏師 運慶 -展覧会のみどころ-

 運慶は、その卓越した造形力によって、まるで生きているかのような写実性にあふれる像を生み出し、輝かしい彫刻の時代を牽引しました。

 運慶が活躍した平安時代から鎌倉時代にかけては、まさに動乱の時代でした。治承4年(1180)に始まった源平の戦いは津々浦々に波及し、やがて政権は貴族から武士へと引き継がれてゆきます。このようななかで運慶は、平家の焼き討ちによって灰燼に帰した奈良の興福寺や東大寺の復興に尽力するとともに、貴族のみならず新興勢力である東国武士からの依頼を受け、仏像を制作したことが知られています。

 運慶は奈良・京都に拠点を置いて仏師の工房を率い、多くの仏像を残しました。本展覧会は、運慶と縁の深い興福寺の中金堂が約300年ぶりに再建されるのを記念して開催するもので、これを機に各地の名品を一堂に集めて展観いたします。

 さらに運慶の父である康慶(こうけい)、息子の湛慶(たんけい)、康弁(こうべん)ら親子3代にわたる作品を通じて作風の樹立から次代への継承をたどるとともに、最新の学術研究の成果も盛り込みます。これまでにない規模で、運慶芸術の真随をたっぷりとご堪能いただける画期的な展覧会になると確信しています。奇跡の55日間に、どうぞご期待ください。


【1】天才仏師・運慶の傑作が集結する史上最大の展覧会

 運慶は生涯に多くの作品を造ったとみられますが、運慶作あるいはその可能性が高いと考えられているのは、異論はあるものの、31体という見方が一般的です。それらは全国各地に分散し、寺院等に所蔵されているお像は門外不出の場合もあるため、大規模な運慶展はこれまで実現しませんでした。

 今回は、運慶と縁の深い奈良・興福寺の中金堂再建記念事業として企画し、同寺所蔵の運慶の作品が出品されます。さらに京都、和歌山、愛知、静岡ほか、各地で大切に守り継がれてきた作品も出品され、計22体が結集することとなりました。史上最大の運慶展が実現します。


【2】父・康慶から息子・湛慶、康弁へ 運慶の作風の誕生と継承

 京を中心に貴族が治めた平安時代から、東国・鎌倉に幕府を置き、武士が支配を広げた鎌倉時代へ。時代の変革期に、運慶は12世紀に流行していた仏像の表現スタイル、定朝様(じょうちょうよう)とはまったく異なる新しい表現を生み出しました。生命力がみなぎる国宝「八大童子立像(はちだいどうじりゅうぞう)」(和歌山・金剛峯寺蔵)や肖像彫刻の最高傑作である国宝「無著菩薩立像(むじゃくぼさつりゅうぞう)・世親菩薩立像(せしんぼさつりゅうぞう)」(奈良・興福寺蔵)に代表される、迫真性に満ちた造形がみどころです。

 本展では、運慶自身の初期から晩年までの作品を通覧するとともに、父・康慶(こうけい)、息子・湛慶(たんけい)、康弁(こうべん)ら親子3代の作品を加え、独創的な造形の誕生とその継承という視点からも運慶作品を捉えます。


【3】博物館でたっぷり味わう運慶 お寺では見られない表情も

 会場は、東京国立博物館平成館のスケールを生かした空間となります。国宝「無著菩薩立像・世親菩薩立像」を守るように、高さ2メートルを超える堂々とした体軀の国宝「四天王立像(してんのうりゅうぞう)」(奈良・興福寺蔵、南円堂安置)が目の前に立ち並ぶ光景は、まさに圧巻。国宝「八大童子立像」(和歌山・金剛峯寺蔵)をはじめ多くの作品は、普段はご覧になれない後ろ姿を含め360度全方位からご覧いただく予定です。展覧会ならではの展示方法でご覧いただくことにより、新たな運慶の魅力を発見できるでしょう。


【4】未来に引き継ぐ運慶 調査研究の最先端を紹介

 運慶作品については、今もなお調査研究は進んでおり、新たな知見が加えられています。この15年間に3件もの運慶作品、あるいはその可能性が高い作品が見出され、大きな注目を浴びました。さらに近年行われたX線CT調査によって得た像内納入品の映像も運慶研究を進展させました。本展では、こういった新知見もご紹介します。

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