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産後の健康管理(2)疲労、震え 甲状腺に異常
産後1か月の健診で子宮や乳房の状態や精神面のチェックを受け、「もう大丈夫」と太鼓判を押されたにもかかわらず、出産に関連した不調をきたすことがある。特に代謝を調節する甲状腺の病気は、産後2か月以降に5~10%の女性が経験する。様々な症状が出るが、本人も周囲も単なる育児疲れと思いがちだ。
2015年1月に長男を出産した東京都世田谷区の吉永 昌美 さん(35)は、産後2か月の時、手の震えに気づいた。小児科で問診票を記入する際、うまく書けなかった。その後、冬でも汗が止まらず、のどが渇くなど症状が増えていった。同年5月、入浴後に激しい 動悸 が止まらず、救急病院に搬送された。
血液検査の結果に異常はなく、帰宅したものの、横になっても脈拍は落ち着かない。震える手でスマートフォンを操作して検索すると、甲状腺ホルモンが過剰になる「甲状腺中毒症」の症状と一致した。救急病院では甲状腺の検査はなく、詳しい医師がいる同区の国立成育医療研究センターを受診することにした。
「つらかったでしょう」
母性内科医長の荒田尚子さんの言葉に、涙が止まらなくなった。長男が笑顔を見せても、笑顔を返せない自分を責めていた。
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