伊藤：キャバクラで10年間くらいバイトしてきたんですけど、いろいろなお客さんと接してきた中で、1個あるあるみたいなものがありまして。“金持ち、めちゃくちゃ声小さい”とか“金持ち、なに喋ってるかわからない時がある”とか…。自分の話は絶対に聞くだろうという自信からか、ものすごく小声で喋ったりするんです。
あとは、普段の仕事のストレスもお金と比例してて、飲みすぎちゃって呂律が回ってないお客さんもいるんですよ。その中でも一人、めちゃくちゃなに言ってるかわからないお客さんがいたんです。
その人が店に入ってきて「飲み物いかがなさいますか？」って言ったら「＄％？★＃！」と返してくるくらいの状態で…。ちょっと何言ってるかわからないなってことで、全スタッフがそのお客さんに対応できずにいたんですけど、僕だけはそのお客さんを担当できたというか、なにかといえばそのお客さんは僕のことを席に呼んでくれてたんです。なんでかというと、そのお客さんは「＄％？★＃！」というのに対して僕は「◎△＄♪×￥○ですか～」っていう返しをしてて、これがどうやら向こうの中で会話として成り立ってたらしいんです。向こうがなんと言ってたかわからないし、僕も自分でなんて言ってるかわからなかったんですけどね。そんなことがあってそのお客さんには気に入られてしまったんです。
さらにある日、本当の本当にベロンベロンに酔っぱらった状態でそのお客さんが店に来て、最初は従業員が対応したんですけど、戻ってきて「すみません。どうやら伊藤さん呼んでます」と言われたので「わかった」と返事してその席に向かったんです。そしたらなに言ってるかはわからないんですけど、テンションはものすごく低くて「どうやら落ち込んでるな」というのだけはわかったんで「＃＆％△●ね～」「？＄＃！＆％ですか～」というロートーンのやり取りを1時間くらい続けてたんです。そしたら最終的に「△％＄？★＃」と言われたんで「あ、たぶん会計って言ってるな」と思って、会計を持って行って「ありがとうございました～」って言って帰ってもらったんです。
次の日、その時には仲良くなってたので連絡先も知ってたので、お客さんからメール入ってて見てみたら「伊藤ちゃん昨日はありがとう。伊藤ちゃんが言ってくれた通り、もう一回妻とやり直してみるよ」って書いてあって…。「あ、俺、そんな重要な話に、一体どんなアドバイスを与えてたんだろう？」って思ってしまったという話です。