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スペシャルアップルパイの作り方(1/4)

「強力粉、薄力粉、バターと……林檎、カスタード、シナモン……」

用意した材料に取りこぼしがないかを確認すると、俺はいよいよアップルパイ作りに着手しようとしていた。

もちろん、先生からのリクエストに応えるためだ。

市販のパイシートを使うなんて手抜きはしない。きっちり生地から捏ねあげて、最高のアップルパイを作ってやろう。

「喜ぶ顔が、目に浮かぶようだな」

そう呟いた俺自身も、ふと気づけば口元が緩んでいた。

「い、いや……これはだな、釣られただけというか……そう、単なる釣られ笑いだ」

誰に見とがめられたわけでもないのに、なぜかそんな言い訳を口にしてしまう。

と、そこへ――。

「おっ、千。またなんか作ってくれんのか?」

「ふむふむ。この材料からすると、完成品はアップルパイですな?」

「つまり、さっき授業をB・K・Rしてたのは、この材料買い出しのためだったと」

「ピーちゃん、B・K・Rってなんの略?」

「バックレだよん。ンフッ」

「それ、略したほうがむしろ言い辛くないナリか?」

「八雲。そこは目をつぶしてやるのが、武士の情けってぇもんだぜ」

「って、てんてん、だめナリよ。目をつぶしちゃったら、アイタタタ~で痛いの痛いの飛んでけ~! ですぞ?」

「そうそう、天ちゃん。やっくんの言うとおりだよ。たしかそれ、目をつぶる、じゃなかった?」

招かれざる客の登場だ。

(目をつぶすだろうが、つぶるだろうが、そんなのはどうでもいいから、さっさとここを出ていってくれ)

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