1日1回のおたのしみ デイリーカードくじ
今日の気分でタッチしてね!

閉じる

黒やっくん(1/5)

「早く早くぅ~」

八雲は真奈美の手をぐいぐいと引っ張り、校門前に停車しているマイクロバスへと向かう。

「そんなに急がなくたって、ナルミーシーは逃げないから」

「やだなぁセンセー。いくらネッシーに似てるからって、ナルミーシーが逃げたら世界びっくりニュースになっちゃうよ?」

「そ、そういうことを言ってるんじゃなくて……」

「ふふ……でもね、遊ぶ時間はた~っくさ~ん、あったほうがいいでしょ~?」

「うんまあ、たしかにそうだけど……」

そのとき、八雲たちを追って背後からアラタが駆けてきた。

「お~~~い」

「あ、ピーちゃんだ。センセー、猛ダッシュだぴょん」

「えっ、ええっ!?」

真奈美は合点がいかないながらも、全速力で走り出した八雲に釣られ、つい全力疾走してしまう。

「マジマジドマジ!? なんで逃げるんだよ~。OON、オレを置いてかないで~」

アラタもさらに速度を上げて追いかけてくる。

「わ~い。鬼さんこちら~」

「ひーっ」

「ちょちょちょ~~~っ」

かくして三人は、あっという間にマイクロバスにたどり着く。

「ぜぇはぁ……な、なんか……ナルミーシーに行く前から、どっと疲れた感じ……」

「もう~、センセーだらしないなぁ。ちょっと走ったくらいで」

「そ……そういえば八雲くんもアラタくんも、ぜんぜん息が切れてないね。……やっぱり、若さの差かな」

「そんなことないよ!」

歳の差……そこには決して越えられない壁があるとほのめかされた気がして、八雲はついムキになってしまう。

©HuneX ©D3PUBLISHER
前のページ | 次のページ

マイページに追加