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資料館に行こう!(1/5)

「ごめんなさい、慧君。待たせちゃった?」

小走りで慧の元に駆け寄り、真奈美ははあっと大きく息を吐いた。

「いや、先生は時間ピッタリだ。僕が早めに到着していただけだから、気にしなくてもいい。女性を待たせるなど言語道断だからな」

待ち合わせ場所は市立文化資料館前だった。休日ではあるが、資料館前は人もまばらで閑散としている。慧は真奈美の前に1枚のチケットを差し出した。

「チケットは購入しておいた。これを使うといい」

「わ、ありがとう。えっと、いくらだった?」

バッグを開き、財布を取り出そうとする真奈美を、慧が右手で制する。

「必要ない。今日は僕が誘ったのだからな」

「え? でも……」

「色々と見ておきたい場所があるんだ。さっさと行くぞ」

「え? あ、待って、慧君!」

真奈美から顔をそむけ、資料館の入り口に向かって歩き出す慧の耳元はほんのりと赤く染まっていた。

慧が真奈美を資料館へと誘ったのは、一昨日の放課後のことだった。

「その、先生に頼みがあるんだが」

「どうしたの? 慧君が改まって私に頼みなんて……めずらしいね」

職員室で声をかけられた真奈美は、珍しく歯切れの悪い様子の慧に向かって首をかしげてみせた。

「次の休み、僕と市立文化資料館に行かないか?」

「え?」

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