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男性にも乳がん(3)乳腺外科は「アウェー」
男性にも乳がんが生じることは、あまり知られていない。岐阜県のフリーライター野口晃一郎さん(44)は、自身の体験をもとに啓発活動に取り組んでいる。
3年前の夏、風呂上がりの野口さんの胸に、妻の美穂さん(46)が目をとめた。「あら、左側の乳首がへこんでいるわ」。少し前からチクチクとした痛みがあったものの、それほど気にしていなかった。
地元の新聞の依頼で毎年、10月の乳がん月間に合わせ、検診や早期発見の大切さを呼びかける紙面を作っていた。その年の取材後に、医師に相談した。男性の乳がん患者は、50歳以降に多く、それより若い年齢では少ないとの説明に、少しほっとしながらも、検査を受けることにした。
乳腺外科には思わぬ壁があった。待合室は女性ばかり。男性は付き添いの夫とおぼしき人しかいない。検査室に入ろうとすると、周囲の視線が集まった。若い女性技師が気を使っているように思える。居場所がない感覚で、「アウェー」という言葉が浮かんだ。
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