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年始はプロレス!新日本「WRESTLE KINGDOM 13」東京ドーム大会大特集

初代タイガーに次ぐ快挙の持ち主!? LINEでも焦らない達人?“制御不能の魅力”まるわかり内藤哲也!

1・4、東京ドームでは、クリス・ジェリコと激突!

 プロレスラーも知名度が出て来ると、雑誌等で、人生相談のコーナーを持つものである。アントニオ猪木や天龍源一郎は、これだけで1冊の本にまとまっているほど。中には、「長州さんは進路に迷った経験はありますか?ぜひアドバイスをください!」という問に対し、「これはない。うん、ないから」(長州力。辰巳出版『Gスピリッツ vol.1』より)とか、胸が小さいという女性の悩みに対し、「男にもまれろ」、太ってて困るという男性には、「(上から見て)●●●(局部のこと)が見えていれば大丈夫だ」と、まさに破壊的な回答を連発した橋本真也もいたが(ワニマガジン社『Rintama』内、『破壊王的人生相談』より※大意)、それはさておき、近年、八方美人な性格を直したいという相談に、こう答えた選手がいた。

「僕はそれまでずっと『お客さまに好かれたい』『どうしたら喜んでもらえるか』ばかりを考えてプロレスをしてました。それが成功する秘訣だと思ってたんです。でも(中略)『僕がやりたいようにやるのをお客さまに見てもらって、その上で評価してもらう』っていう方向にシフトチェンジしたら、結果、お客様に響くようになった」(『週刊プレイボーイ』2016年6月27日号より)

 まさにこの言葉通りのプロレス人生を経て、今、マット界随一の注目を集める存在となったのが、内藤哲也だ。先々週の棚橋弘至、先週のオカダ・カズチカに続き、今週は、この内藤哲也を大特集!その試合の見どころは勿論、なぜ衆目を集める存在になり得たのかを解明したい。

マイク・パフォーマンスに注目!

 1982年生まれの現在36歳。東京都足立区生まれの、大きく言えば江戸っ子だが、先ず注目してほしいのは、そのマイク・パフォーマンス。「トランキーロ。あっせんなよ!」を決め台詞に、観客の大合唱を巻き込む。括弧内で既にそのスペイン語を直訳しているこのキラー・ワードは内藤が2015年6月に、5度目のメキシコ遠征から帰国し、同年の7月3日より使い始めたものだが、その言い回しが独特で、極めて中毒性が高い。その証拠に、同年秋のテレビドラマ、「民王」や「サムライせんせい」(いずれもテレビ朝日)の出演者の台詞で、この「トランキーロ」が登場。一躍、内藤は時の人となったのだった。他にも「カブロン」(クソ野郎)や「ペンデホ」(馬鹿)、「オクパード」(忙しい)、更には、「ブエナスノーチェス!」(こんばんは!)など、コメントでは多くのスペイン語を用いる内藤。これが1つの魅力になっているのは間違いない。

 なお、彼がヘッドを務めるユニットの名が、メキシコに既に存在していたユニットの日本支部「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」(※「デ・ハポン」は、「日本の」の意)。だが、実は内藤自身は、それほどスペイン語が達者なわけではなく、まだ2015年時点では、このユニット名を噛みまくっていたというから驚きだ。メキシコの母体ユニットのメンバー(ラ・ソンブラ等)とはLINEでやりとりしていたようだが、「今度、行く」とか、「一緒に、やろう」などを、単語のみでやりとりするレベルだったという。

 そして、注目は、やはりその戦い模様。リング上に寝そべったり、白のスーツや、それこそ「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」のTシャツ姿のまま戦い始めることはザラ(そのうち脱ぐのだが)。そう言えば、内藤の苦手のものは、身動きの取れない狭い場所と聞いたことがある。更に、同じユニットのメンバー、BUSHIが言うには、「内藤は、LINEの既読スルーが多い」……。

 そう、何せこの内藤、自由奔放な男なのである。特に「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」としてブレイクした2015年以降は。

その、“制御不能ぶり”の内訳!

 先述のように、5度目のメキシコ遠征から帰国した2015年6月より、より自由な行動を取るようになった内藤。例えば、同年7月18日の『G1 CLIMAX』開幕前会見においては、マイクの前で、それこそスペイン語を多用した抱負を述べたのだが、脱いだキャップをマイクの隣に座っていた棚橋の目の前にパサリと置く狼藉ぶり。棚橋と言えば、内藤が尊敬するレスラーの1人であり、「おやっ?」と、その変化を感じたものである。さらに、自身が元は付け人を務めていた“猛牛”の異名を持つ天山広吉との一戦(8月14日)では、脱いだスーツを横向きに持ち、天山の目の前でヒラヒラ。闘牛士の動きのそれで、天山を茶化したのだった。三重県桑名市生まれの後藤洋央紀には、『キャプテン・クワナ』なるマスクを自前で作成し、進呈さながら、挑発。文字にするとおふざけが過ぎるのだが、「ちょっと面白い存在になって来た」という心象も消えなかった。

 それが今の内藤人気に至るわけだが、もちろんきっかけは、2015年のメキシコ遠征。この際、メキシコの一般紙には、以下の文言が躍ったという。

「内藤が帰ってくる!」

 そう、内藤はこの時期、既にメキシコでは大人気であった。2009年5月の初遠征の初戦で、自らの得意技、スターダスト・プレスを現地の有名選手、エクトール・ガルサに見舞い病院送りにしたことで、注目が上昇。以降、メキシコでは、セミかメインにしか登場したことがなかったとか。さらに同年7月には、現地の有名会場、アレナ・メヒコでの髪切りマッチに勝利。同会場で日本人が髪切りマッチで勝利するのは、初代タイガーマスクの正体である、サトル・サヤマ(佐山聡)以来30年ぶりということで、こちらも大きな話題に。因みに、内藤が今でもおこなうパフォーマンスの1つに、目に指を添え、大きく見開くポーズがあるのだが、このポーズを初披露したのが、件の髪切りマッチの時。こちらが現地の専門紙誌で大きく報じられ、“内藤のポーズ”として認知されたのだった。なお、以前の当サイトの拙稿で、筆者もこれを、「目の小さい日本人を馬鹿にする兆候を逆手に取ったポーズ」としたが、内藤自身によれば、この動機も間違いではないようだ。ただ、内藤は目がパッチリしており、そう馬鹿にされる覚えもない筈だが……。知己の記者がそう疑問を向けると、内藤は、同時期に一緒にメキシコで戦っていたタッグパートナー、高橋裕二郎の名を挙げたとか。ということは……。高橋裕二郎選手は当日の東京ドーム大会で第0試合に登場するので、その目の大きさにも注目して頂きたい。

 いずれにせよ、2015年5月、メキシコに“凱旋”した内藤。だが、本人の心の中では、忸怩たる思いがあった。

「なぜこの人気が、日本では得られないのか……」

 内藤は先立つ3ヶ月前の2月11日の大阪大会で、観客から大ブーイングを浴びていた。特に理由もないのにである。試合後、プロレス中継の実況を務める野上慎平アナウンサー(テレビ朝日)と、こんなやりとりをしている。

内藤「逆に俺から質問しますよ。今日、俺への声援とブーイング、どっちのが大きかったと思いますか? 野上さん、素直に答えてくださいよ」

野上「ブーイングの方が今日は大きかったように聞こえました」

内藤「ブーイングのが大きかった? 何対何くらいですか?」

野上「8対2か、もしかしたらもっとあったかもしれないです」

内藤「9対1ぐらい?」

 客に嫌われているという不安との戦い。この後のメキシコ行きは、内藤にとって、自分を抜本的に変えねばならない遠征だった。

極度の、新日本プロレスLOVER!

 武藤敬司に憧れ、新日本プロレス入りを目指した中学生時代。スローモーションで何度もビデオを見返し、武藤の動きを真似た。トレーニングのスクワットは、お風呂に熱湯を張り、窓を閉め切った状態でおこなった。結果、2005年の新日本プロレス入門テストの、ただ一人だけ合格。その際の自己ピーアールの際、試験管の木村健悟にこう叫んだ。

「木村さん!僕の新日本プロレスへの思いは、絶対誰にも、負けません!」

 新日本プロレスが大好きで、その試合に誇りもあった。2007年5月3日、ユーモラスなファイトを身上とする新日本プロレスOB、ドン荒川と第1試合を戦うと、「俺たちにこんな第1試合をやれって、新日本は思ってるのか!?」と悔しさから発言した。控室で、獣神サンダー・ライガーが慰めてくれたという。

 セルリアンブルーのマットの上で、真っ当に闘ってきた。だが、人気は思うように上がらず、そして、遂には罵詈雑言を浴びる羽目に「今日も試合か、嫌だなあ」と思う日々が続いたという。

 その内藤の心をとらえたのが、2015年のメキシコ遠征で観た、「ロス・インゴベルナブレス」(※「制御不能な奴ら」の意)の型にはまらない戦いぶり。そのチーム結成理由も振るっていた。「ベビーフェイス(善玉)なのに、ファンの反感を買っている(選手たちが集まったユニット)」。それは、日本での内藤そのものだった。

 以降、その放埓なファイトで、不思議なほど一気にファンの支持を得た内藤。冒頭の人生相談では、試合を料理に例え、こんな風に語っている。

「(それまでは、自分は、)『こんなにおいしいものをだしているのに、なんでわかってもらえないんだろう?』って思いでした。だから、食材や調味料を変えたりして試行錯誤してたんだけど(中略)、変えるべきは食材とか調味料じゃなかった。自分が自信を持って『これでどうだ!』って料理を出すことが一番大事なんです」

 自分自身への自信で、大きく飛躍した内藤。極度のプロレス好きだけに、こんな風にも語る。「シリーズの合間や試合前、『今日はどうなるのかな?』って色々想像するのが、ファンには無上の楽しみなんですよね」

 そう、その意外性や軸を外した行動も、全てはファンの楽しみのため。当日は、クリス・ジェリコと戦う内藤。どんな意想外の風景を見せてくれるか、ぜひ注目したい。

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