昨今売れているものにはPCやNintendo Switchなど、リモートワークや巣ごもり需要に関連するものが多いことはよく知られています。この辺りの需要はもうしばらく続くかもしれません。これに関連して注目されている市場に「ワイヤレス(=Bluetooth)イヤホン」があります。どのくらい売れているのでしょうか。少し詳しく見てみましょう。
●きっかけはアップル「AirPods(エアポッズ)」
富士キメラ総研が2020年5月27日に発表した資料「2020 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査」によると、ワイヤレスイヤホン/ヘッドホンの市場は2019年が2億1000万台。この先、2025年には5億7...
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昨今売れているものにはPCやNintendo Switchなど、リモートワークや巣ごもり需要に関連するものが多いことはよく知られています。この辺りの需要はもうしばらく続くかもしれません。これに関連して注目されている市場に「ワイヤレス(=Bluetooth)イヤホン」があります。どのくらい売れているのでしょうか。少し詳しく見てみましょう。
●きっかけはアップル「AirPods(エアポッズ)」
富士キメラ総研が2020年5月27日に発表した資料「2020 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査」によると、ワイヤレスイヤホン/ヘッドホンの市場は2019年が2億1000万台。この先、2025年には5億7100万台(2019年比2.7倍)と予測されています。需要は特定の地域に関わらず増加しています。また、朝日新聞の記事では、国内市場では2019年が1300万台で前年の約1.6倍に拡大。21年には1680万台になると見込まれています。
かなりの伸びが期待されていることがわかります。記事によると、「今後はスマートフォンの付属品としてや音楽を聴くだけではなく、生体情報のモニタリング、同時通訳などの機能が付加された耳に装着するヒアラブルデバイスとしての需要増加が期待される。」とのことです。普及のきっかけはアップルが2016年に出した「AirPods(エアポッズ)」です。無線でも高音質な音楽が聴けると大ヒットしました。
●「ながら作業」で使える
ヒットしている理由は、まずはコロナ禍でのリモートワーク化が進んだことが大きいようです。ワイヤレスイヤホンのクリアな音質はリモート会議でも活躍しています。また運動しながらでも邪魔にならない点も人気の理由のようです。また最近はiPhoneのイヤホンジャックもなくなりました。時代の先端にアップルの影がちらつくのはもはや毎度のことと言っていいかもしれません。
いまではさまざまなメーカーが参入しています。日本では「iPhone」ユーザーが多いこともあり、アップルの「AirPods」の需要が高いですが、パナソニックやソニーも高性能の最新機種を発表して奮闘しています。たとえばパナソニックが「テクニクス」ブランドで出したワイヤレスイヤホン「EAH-AZ70W」には、業界最高水準のノイズキャンセリング機能も搭載しているものもあります。またソニーのワイヤレスヘッドホン「WH―1000XM4」もノイズキャンセリング性能が向上し、AIが今いる場所を判別して好みに応じた音質で再生するとのこと。
運動しながら、家事をしながら、買い物しながら、といった需要にこたえるのがワイヤレスイヤホン/ヘッドホンだと言えます。ケーブルありでもこれらは可能ですが、ワイヤレスになってより装着を気にしなくてよくなりました。さらにこちらが話したり話を聞いたりするときでも、外音を拾うモードがあったり、聞き取りやすくする機能が備わっている機種もあります。これによって、いちいち着脱することなく、自分の気分や状況にあった快適な音の環境を作り出せるようになりました。
●イヤホンタイプの場合落とすリスクは高い
バラエティはかなり豊かなので、個別の商品の特徴はレビューなどを参考にするのが良いでしょう。値段もさまざまで、3000円くらいのものから4万円を超える高性能モデルまであります。先ほど紹介したパナソニックテクニクスの「EAH-AZ70W」、ソニーの「WH―1000XM4」といったあたりはどちらも高機能モデル。2020年の年末時点での実勢価格はおよそ3万円前後といったところのようです。
たいへん便利なワイヤレスイヤホンですが、リスクもあります。小さいので落としやすく、また落とした場所によってはもうどうにもならないということもあります。実際に駅の落とし物としても爆増しているようです。こういった事態を受け、JR東日本ではパナソニックに依頼して「ホームの線路に落ちたワイヤレスイヤホン専用掃除機」を開発したとのこと。これは掃除機の先端を細くすることで、砕石の間に紛れても回収しやすくイヤホンの形状に近いものだけを吸い取れるというものだそうです。
こういった問題に対してはメーカーもある程度救いの手を差し伸べているようです。例えばソニーでは、片方をなくした場合、修理に13,500円+税がかかるところ、「紛失あんしんサービス」に加入されると5,000円+税で補償してもらえるようです。AirPodsの場合は、設定しておけば、ペアリングされていたAirPodsを紛失した場合、「探す」アプリから探すことができます。またAppleCareの対象外とされてはいますが、片耳ずつ購入することはできるようです。
●この先健全な成長率で成長する
日本の現状ではまだイヤホンの主流は有線ですが、今後ワイヤレスに移行すると思われます。世界的に見てもこの業界は今後まだまだ市場はどう伸びていくと思われます。アメリカのReportocean.comが2020年10月27日に発表した、「ワイヤレスイヤホン市場調査レポート」によると、世界のワイヤレスイヤホン/ヘッドホン市場は2019年に約21億ドルと評価され、2020年から2027年の予測期間にわたって5.8%を超える健全な成長率で成長すると予想されています。今後、北米でのゲームやフィットネスの需要に加えて、可処分所得の増えるアジアの新興国での需要の増加が見込まれているようです。
<参考サイト>
・ワイヤレスイヤホン世界市場25年までに2.7倍に拡大、富士キメラ総研|BCN+R
https://www.bcnretail.com/market/detail/20200528_175511.html
・ワイヤレスイヤホン市場拡大 リモートワークでも|朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASN8T4JX4N8GPLFA007.html
・線路にワイヤレスイヤホン落とす人多過ぎ!パナソニックとJRが「イヤホン用掃除機」を開発|GIZMODO
https://www.gizmodo.jp/2020/11/jr-19.html
・ワイヤレスイヤホン市場分析2020、進化するテクノロジー、将来のトレンド、収益、価格分析、ビジネスの成長、価格、および新しい市場レポートに記載されている2027年までのトレンド予測|PRTIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000067400.html
・イヤホン・ヘッドホンに関する調査【2020年版】|TesTee lab.
https://lab.testee.co/earphone-result_2020
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