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大画面に映し出されたビール製造工程を体感できる「スーパードライ ゴーライド」(24日、東京・銀座で)

 ビール大手各社が、製造工程の体験など来店客を飽きさせない工夫を凝らした店舗を次々にオープンさせている。若者のアルコール離れは進んでおり、普段はビールを飲まない人にも楽しんでもらい、新たな顧客層を開拓したい狙いだ。

 アサヒビールは25日、主力「スーパードライ」の世界観をイメージした店舗を東京・銀座にオープンする。店内のアトラクション「スーパードライ ゴーライド」は、4Kの大画面に映し出された映像を通じ、風や音、揺れを体感しながら、製造中の缶に乗ったような迫力を味わえる施設だ。

 機械で泡に文字や画像を描く「泡アート」を楽しんだり、自分で生ビールを注いだりできる。9月末までの期間限定で、梶浦瑞穂マーケティング本部長は24日の内覧会で「酒税改正でビール回帰の流れが加速している。ビールファンだけでなく、色々な人が楽しめる施設にしたい」と話した。

 キリンビールは5月30日にクラフトビール店「スプリングバレーブルワリー東京」(東京都渋谷区)を改装オープンする。醸造所が併設され、店内では音楽とアートを組み合わせたイベントなどを開催し、気軽にビールを楽しめる空間を演出する計画だ。

 サッポロビールが今月3日、恵比寿ガーデンプレイス(同)に開いた施設は、昔のポスターや瓶を並べたほか、ブランドを振り返る展示コーナーを設け、来場者は3万5000人を超えた。サントリーは、東京都府中市の工場で4月から、出来たての「ザ・プレミアム・モルツ」を自分で注げる体験を追加した。

 ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏は「若者にとってアルコールは身近なものではなくなりつつある。SNSや試飲、アトラクションなどの体験を通して興味・関心を持ってもらうことが重要だ」と指摘している。