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米ニューヨークのトランプ・タワーで会談するトランプ氏(左)とポーランドのドゥダ大統領(中央)(17日)=AP

 【ワシントン=淵上隆悠】米国のドナルド・トランプ前大統領(77)が11月の大統領選の共和党候補指名を確実にして以降、外国の要人による「トランプ詣で」が加速している。要人らはトランプ氏の返り咲きに備えて関係構築を図る一方、トランプ氏は有権者に自らの存在感を誇示する機会に利用している。

トランプ氏 存在感誇示に利用

 「トランプ・タワーに麻生元首相をお迎えできたことを大変光栄に思う」

 ニューヨークで23日、自民党の麻生副総裁と会談したトランプ氏はSNSに写真や動画を添えてこう投稿し、自身が世界から注目されているとアピール。トランプ氏の陣営幹部も会談に先立ち、「相次ぐ会談は、トランプ氏が大統領になれば、世界がより安全になると各国の指導者たちが認識していることを示している」と米メディアに豪語した。

 トランプ氏のもとには、麻生氏以外にも要人が相次いで訪れている。ハンガリーのビクトル・オルバン首相は、トランプ氏が共和党の指名獲得を確実にした2日後の3月8日、フロリダ州にあるトランプ氏の邸宅「マール・ア・ラーゴ」に駆けつけた。その後も英国のデビッド・キャメロン外相とポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領がトランプ氏と会談した。米紙ニューヨーク・タイムズによると、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子もトランプ氏と電話で会談した。

 ただ、要人らの心の内は、期待感や警戒感など様々だ。メディア統制など強権的な手法で知られるオルバン氏はトランプ氏との関係は良好だが、現職のバイデン米大統領との間にはすきま風が吹く。オルバン氏はトランプ氏との会談後、自身のX(旧ツイッター)に「大統領、また戻ってきて世界に平和をもたらしてほしい」と投稿した。一方、キャメロン氏はトランプ氏が掲げる「米国第一」を懸念する。会談ではトランプ氏が否定的なウクライナ支援の重要性などを訴えたとされる。

 要人の訪問を積極的に受け入れるトランプ氏は、首脳会談のように国旗が並ぶ部屋で、長机をはさんで訪問者と向かい合う写真を公表するなど「現職大統領」のように振る舞う。選挙運動や刑事事件の公判を抱えつつも、外国要人との会談を重ねて外交面での影響力を見せつけ、バイデン氏に対抗する考えとみられる。