【怪談】お前、連れてくんなよ
これは、××線のとある駅の踏切近くに住んでいた後輩芸人Nの話です。
Nは夜勤のアルバイトをしており、家には帰って寝るだけという生活……。
「どんな条件でもいい」
と、築何十年も経っている木造アパートを借りたそうです。
すると、ある朝、目が覚めると外が騒がしかったので駅まで行ってみたそうです。
Nが近くにいた人の話を聞いたところによると、始発の電車に踏切から飛び込んだ男性いたとのこと。曰く、
「死体がバラバラになっていたるところにとび散っている」
夜。仕事に出かけると霊感が強いことで有名な仕事仲間がNに言いました……。
「お前、連れてくんなよ」
毎日、あくせく過ごす都会の現代人。
人身事故に遭遇するのは日常茶飯事です。
たとえ人が死んだとしても、
「ああまたか」
「ホント迷惑だな」
「死ぬならよそで死ねよ」
と思う程度。
ひとりの命が亡くなったことより、自分の予定に五分でも遅刻することの方が大きな問題です。
この話のNも、日々の生活に忙殺され恐ろしい事実に気づかなかったひとり……。
もしかしたら本当に恐ろしいのは、忙しい日々に追われて死者に敬意を払うことを忘れてしまっている生きている人間の心の方かもしれません……。
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