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年始はプロレス!新日本「WRESTLE KINGDOM 13」東京ドーム大会大特集

東京ドームの最多メインイベンター!でも100年に1人の逸材はウソ?“プロレス人気を復興させた男!”まるわかり棚橋弘至!!

『1・4』は、プロレスの日!

「新日本プロレスが、ギネスに挑戦!」

 こんな記事が各紙誌に踊ったことがあった。2005年10月のことである。新日本プロレスが、自らが持つある記録を、世界のギネスブックに申請しようとしたのである。さて、その記録とは、何だったのだろう?

 それは、「同日、同ドーム大会での毎年開催」。ポイントは、「同日」となっていること。例えば、ドームでのイベント連続開催は、渡辺美里の西武ドームLIVE(20年連続)などがあるが、こちらは日にちはまちまち。ところが新日本プロレスの場合、毎年同じ日に、同じドーム球場でおこなっている大会があるのだ。

 それが、毎年1月4日の、東京ドーム興行。なんと今回で27年連続開催。そして、もちろん来年もおこなわれるのである(28年連続)。既にこの1月4日は、東京ドーム側も新日本のために空けているという。以前の申し入れは登録まで至らなかったようだが、そこから既に10大会以上上乗せされているため、またぜひ再チャレンジして欲しいものである。

 この、2019年1月4日の東京ドーム大会を、中心選手ごとに大特集!先ずは、今回の大会でトリ(メインイベント)を務める、棚橋弘至なる人物の魅力を、奥底までご紹介したい。

そのキャラクターと、特技(?)は?

 棚橋弘至、と言えば、今や知らぬ人もいないだろう。テレビのバラエティー番組でもよく見るし、立命館大学法学部卒という学歴から、クイズ番組にも多数出演。今年は、TBSのキーコンテンツ『情熱大陸』でも特集。さらに9月には初主演映画『パパはわるものチャンピオン』も公開された。因みに、岐阜県の出身ながら、立命館大学に進学した理由の一つは、当時の彼女が、先に関西の短大に進学していたからというから、なんとも健全に(?)男子である。「『おい、おい、待てよ。俺を置いてくのか』と」(棚橋・『BIG tomorrow』2016年1月号より)

 そう、棚橋の魅力の一つは、その女性を中心とした人気ぶりにあるだろう。「飛べない棚橋は、ただのイケメンだ」という言葉があるのだが、何が凄いって、これを言っているのが棚橋自身であることである(2010年9月26日、試合後コメントで披露。以下、同)。

 他にも、「俺は生まれてから、疲れたことがないんだ」(2012年1月4日)、「もう辞めようかな、反則(攻撃)とか。俺のカッコ良さは反則だけど」(2008年9月5日)、さらに、自己紹介時には、「プロレス界100年に一人の逸材、棚橋弘至です」。そして、試合後には、エア・ギターをつまびく。つまりは、究極のナルシスト・キャラと、表面的には理解して差支えない。

 とはいえ、立命館大学時代の学友にして、お笑い芸人、ユリオカ超特Qのお笑いライブに友情出演した際は、「プロレス界100年に一人の逸材、棚橋弘至です。……だけど日本のプロレスの歴史、まだ60年しか経ってなかったーっ!」とオチをつけていたが。因みに演目は、『エアギター漫談』。2016年4月1日には新日本プロレス公式HPに、『棚橋弘至のエアギター、探してます』の文字が。日付に注目して欲しいが、かように、エアギターと棚橋は不可分なもの。今回のドーム大会では、勝った時にしか披露とならないが、それも含め、ファンにはぜひ期待して欲しい。

トレーニング雑誌(しかもグラビア)の常連!

 また、その棚橋のこだわりの1つが、その肉体美の維持。プロである以上は当然かも知れないが、とても御年42には見えない。2018年夏、国立西洋美術館でおこなわれた『ミケランジェロと理想の身体』展では、読売新聞に連載で寄稿。その彫刻に見られる筋肉美について、所見を語っていた。

 外国人レスラー、スコット・ノートンとレストランで食事した際、彼が鶏肉を持ってトイレに行き、油分の多いソースを洗い流して来てから食べたのを目の当たりにし、衝撃を受けたという棚橋。肉体管理へのこだわりは相当のもので、彼が新日本プロレスに入団したのが1999年というその時節柄もあるが、同団体でサプリメントの有用性を説き、各選手に導入させたのも棚橋と言われている。ただ、重要な試合の直前は、既に肉体が仕上がっているため、好物の、『CoCo壱番』のカレーを食すことが多いというから、ファンは近隣の同店で張っていれば、出会うチャンスもあるかも。

 当然のように、そちらを強調した写真集なども発売されているが、中には、裸にエプロン姿で書店員をするという、謎の一枚も(「1/100」扶桑社)。先述のように、ノリの良い人物ゆえ、きわどいショットが多くなり、危ないところはデジタル処理されたという裏話も付け足しておきたい。

 40年以上の歴史ある『プロレス大賞』のMVPも、2018年12月12日に受賞した棚橋。なんとこれが4度目の受賞。さらにわかりやすくその凄さを言えば、この、毎年1月4日の東京ドーム大会で、最も多くメインイベントを務めているのが棚橋なのだ(10回。2019年含む)。新日本プロレスは、この1月4日以外にも東京ドーム興行をおこなっているが、それらを勘案しても、2位の武藤敬司(8回)を抑えてトップ。つまり、棚橋こそ、東京ドーム大会の顔と言って過言ではない。

 だが、イケメンなだけで、キャラが強いだけで、筋肉美だけで、こうまでのキャリアとなるだろうか。違う。棚橋の真価は、別のところにあるのだ。実は棚橋こそ、「新日本プロレスを変えた男」、もっと言えば、「現在の新日本プロレス人気を、復興させた男」なのである。

プロレスを変えた男!!

 棚橋が最初にトップに立ったのは2006年の7月。団体の至宝、IWGPヘビー級王座を初戴冠。翌年には、現在も続く夏のリーグ戦、『G1 CLIMAX』を初制覇。そこで棚橋は報道陣を前に、一席ぶった。「どの雑誌を見ても、(俺を)“次世代のエース”って。次っていつだよ!今じゃないのか?!……あっ、エースと言われるのは好きだから、それは続けて下さい」。オチはつけていたが、それは、危機感と、覚悟の表れだった。

 低迷するプロレス人気。漸減して行く観客動員。もちろん会社内でも会議は行われる。そこで出るのは、「全力で頑張って行こう」「頑張って行けば、いつか陽の目を見る。ファンも戻って来てくれる」「テレビ中継だって、深夜帯から脱却すれば……」棚橋自身、そう思っていたという。

 そんな時、読んだのが、『チーズはどこに消えた?』(扶桑社)だった。既に食べ尽くしてなくなったチーズを、ネズミたちが待ち続けるというビジネス啓発本だが、「これって今の新日本じゃないか!」と棚橋は思ったという。「ファンがいなくなったのに、戻って来ることだけを待っている。大事なのは、新しいチーズ(ファン)を探すことだったんだ!」と。

 それからの棚橋は、大袈裟に言えば、自分を変えた。「プロレス界100年に一人の逸材、棚橋弘至です」と自己紹介し、会場やイベントの客が引くと、内心、(しめしめ)と思ったという。「良くも悪くも、印象に残ればいいと思った」という。プロレス初心者をターゲットにし、先ず、プロレスそのものより、自分を知ってもらおうと思ったのだ。前項のナルシスト発言は、全てその気持ちの表れ。プロレスに対する一般的イメージが、「危ない」「血が出て怖い」と出ると、自らが優男キャラに変身し、エアギターを奏でた。当然、棚橋を嫌う者も出て来るし、既成の新日本プロレスファンからは、「軽くてチャラい奴」と反感を買った。だが、意に介さなかった。「僕を嫌うということは、相手選手に声援が行くということ。それで新日本が盛り上がるなら、それでいいって」。自らが新日本のために、捨て石になる覚悟だった。いみじくも過去、筆者がインタビューした、かつてのライバル・中邑真輔は、こう語っている。「彼のプロレスは、自分を殺して行く過程だった。感謝してます」

 もちろん、プロレスという入口を知ってもらわねばどうしようもない。棚橋は、IWGP王者としてはほぼ初めて、地方興行のプロモーションに自ら参加した。チャンピオンは、それこそそれまでは、向こうから取材が来るのを待つだけの“殿様”だったのだ。「誰?あの人」「プロレスラーなんだ?知らねーな」一般人の冷たい反応。主催者が申し訳なさそうに切り出す。「棚橋さん、実は今日のイベント、入りが芳しくなくて……」棚橋が言い返す。「でも、何人かはいるんでしょ?俺、全力でやりますから!」しつこいようだが、プロレスは冬の時代だった。だから、効果の大きいだろうテレビ局などからは滅多に呼ばれない。その分、ラジオ局でのプロモーションを大事にした。行けば喜んでくれ、そして必ず覚えていてくれる。「また出てくれませんか?」と、次につながった。

 試合後のプロモーターへの食事会には必ず参加。メイン直後なので、体を拭いて髪を整えるだけで酒席に駆け込み、頼まれた何十枚、何百枚のサイン色紙にペンを走らせた。連日、全く休みのない活動ぶり。「正直、試合のある日の方が、よほど楽だった」と、棚橋は振り返る。

 風向きが変わって来たのは、棚橋がIWGP王者になってから4年ほど経過してからだろうか。インターネットを中心に、こんな書き込みが目立つようになったのだ。

「棚橋のファンサービスは凄い」「メイン後には、リングサイドを回ってファンとハイタッチ」、「一人のサインに、3分以上かけて喋ってくれる」「名前、憶えててくれた!」etc……。

 気づけば新日本プロレスの観客動員数も、上向きになっていた。女性ファンが、子供のファンが多くなった。対して、客席で「あの選手は昔、●●で……」とうんちくを語る客が少なくなった。ファンはただ、今、目の前でおこなわれている熱いファイトに注視しているのだ。それは明らかに、プロレスのファン層の変化だった。今、棚橋が自信を持って繰り返す言葉に、何の嘘もない。この言葉を、ぜひ、まだプロレスを観たことのない、読者にも贈りたい。あえて、括弧内は、筆者が付記させてもらった。

「皆さん!(今の)プロレスに、予習は要りません!会場に来て、観たまま、感じたままに、楽しんで下さい!」

 1月4日、当日は、ケニー・オメガの持つIWGPヘビー級王座に挑戦する棚橋。ぜひ、観たまま、感じたままに、楽しみたい。

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