コリアンタウンと聞いてまず思い浮かぶエリアは、東は新大久保、西は鶴橋・生野ではないでしょうか。古くから韓国と日本は深い関係にある隣国だけあって、その他にも、東上野や三河島、川崎、下関など、全国各地にコリアンタウンが点在しています。
●それぞれのコリアンタウンの成り立ちは?
ひとくちにコリアンタウンと言っても、エリアによりその成り立ちは様々。冒頭に上げた新大久保周辺のコリアンタウンは、1950年代に大手韓国企業のロッテが操業したことがこの地へ韓国人を集わせたという説や、また日本最大の繁華街・歌舞伎町で働く韓国人が隣接する新大久保周辺に住み始めたことからコミュニティが形成されていったという見方もあ...
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コリアンタウンと聞いてまず思い浮かぶエリアは、東は新大久保、西は鶴橋・生野ではないでしょうか。古くから韓国と日本は深い関係にある隣国だけあって、その他にも、東上野や三河島、川崎、下関など、全国各地にコリアンタウンが点在しています。
●それぞれのコリアンタウンの成り立ちは?
ひとくちにコリアンタウンと言っても、エリアによりその成り立ちは様々。冒頭に上げた新大久保周辺のコリアンタウンは、1950年代に大手韓国企業のロッテが操業したことがこの地へ韓国人を集わせたという説や、また日本最大の繁華街・歌舞伎町で働く韓国人が隣接する新大久保周辺に住み始めたことからコミュニティが形成されていったという見方もあります。
大阪の鶴橋・生野のコリアンタウンの歴史はもう少し古く、1920年代に大阪・済州島間を結ぶ貨客船が就航したことで朝鮮半島から来日、この地区に雇用を得る韓国人が増えたことがコリアンタウンの発展に繋がり、現在も韓国食材や焼肉店などが連なる商店街が広がっています。同じように山口県の下関もまた、1970年に釜山港との国際フェリーが就航したことが大きな契機に。現在下関と釜山は姉妹都市となっています。
元々は来日した韓国人の皆さんの労働の拠点が、生活コミュニティとして市場や商店街に発展していった傾向の強いコリアンタウンですが、現在ではその姿を変えながら日々進化しています。
●コリアンタウンの代表、最新の新大久保事情。
コリアンタウンの中でも新大久保エリアは、20年程前はディープな韓国料理屋や焼肉店がメインで、歌舞伎町に近く女性1人では足を踏み入れにくい歓楽街のイメージがありましたが、現在ではJKの聖地の一つとも言われる明るくポップな表情を見せる街に変貌。今回取材のため足を運んで見たところ、2021年夏のコロナ禍に於いても街は女性客で賑わっています。
【チキン、フォンデュ、モッパン、マカロン...】
以前より増えているのはチキン料理店。韓国でも不況時はチキン屋台が増えるそうで、原価の安さや調理の簡単さ、テイクアウトがしやすいなどの理由が反映されているよう。また韓国グルメお得意の「映え」メニューも多く、可愛くデコられたカラフルなマカロンや、シズル感溢れるチーズフォンデュ系なども急増。色々あり過ぎて何を食べたらいいのか分からないという人向けには、モッパンセットというジャンクフードの盛り合わせや韓国惣菜のビュッフェも人気です。
【K-Popカルチャーの聖地、発信地になっている】
韓国アイドル歌手のライブやステージを展開する劇場やミニスタジオが増えています。写真撮影タイムや、コロナ以前はアイドルを囲んだオフ会などもあり、まさに会える韓流アイドル目当ての女性客に人気のスポット。またBTSなどのダンスパフォーマンスで再燃したK-Popならではの、ヒップホップやジャズのダンスを学べるレッスンスタジオなども若い女性を中心に盛り上がっています。
【韓国コスメはオーガニックやハイクオリティな傾向】
数年前は韓国土産の定番として可愛くキッチュな比較的安価なパックやBBクリームが人気でしたが、最近では美肌の韓流女優やアイドルの使用している、質の高いコスメがメインに。シンプルで洗練されたパッケージや、機能性やオーガニックなど安全性もうたった高品質な基礎化粧品などが目につきます。「韓国っぽ」と言われる独特なメイクを真似したい日本人女子が、韓国人スタッフの女性にメイクを習う姿も。
【レンタル衣装や、写真スタジオも急増中】
韓国の人達は日本人よりもさらに写真好きということで撮影には並々ならぬこだわりがあり、インスタも大人気。そんな韓国のドラマのワンシーンのような雰囲気のある写真を撮影してくれる撮影スタジオも登場。チマチョゴリや韓国の女子高生の制服をレンタルし、撮影や街散策を楽しむというコンセプトのショップも目につきました。日本に来た外国人が着物レンタルをして撮影、はよくある観光メニューですが、日本で日本人が韓国風の写真を撮るという新鮮さを感じます。
最新の新大久保は韓国というテーマパークに。韓国以外のアジアレストランや雑貨店もそれなりにはありますが、わざわざここを目指して来る人たちの目当ては、やはり韓流という観光エンターテーメント。海外旅行になかなか行けない今「渡韓ごっこ」と称して他県や地方から新大久保へのプチトリップを楽しむ若い女性も多く、新大久保周辺のホテルも、白やベージュ、グレーをベースとした優しいトーンでシンプルな韓国インテリアを取り入れているほどの徹底ぶり。
日本人が知る、韓国のトレンド情報の鮮度が高いうちにとばかりに、次々と新形態のショップや、話題性のあるグルメやカルチャーなど、とにかく「新しい韓国」を発信しているのが新大久保のコリアンタウン。流行のキャッチ&リリースの速さは圧倒的です。
●まだまだ他にも。気になる外国人コミュニティ。
コリアンタウンの他にも、カレー屋さんが数多くあるインドコミュニティ西葛西、高田馬場のミャンマーの人々のコミュニティ、リトルタイランドとも言われる上野、多国籍なアジアンタウンとして注目が集まる小岩、群馬のブラジルタウン大泉町などの外国人コミュニティも有名です。
今しばらく海外旅行は難しい状況が続きますが、外国のグルメや文化に触れたい気持ちは高まる一方という人も多いのでは。コロナの状況が好転した折には、力強く日本に根付いた外国人のコミュニティの文化や暮らしが垣間見える地区に足を運んでみてはいかがでしょうか。
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