肌コラム

Vol.02:女の肌は夏に老ける~夏の肌事情~

(07/16UP)

本格的な夏の到来です。強烈な日差しが肌に襲い、さらに気温の上昇と共に皮脂や汗の分泌が盛んになり、肌のベタつきなど不快な思いをすることもしばしば。夏は肌のトラブル満載の過酷な季節です。

老化の元凶は紫外線!

「リゾート地で、小麦色に肌を焼いてきました…。」がステータスだったのは、過去のこと。紫外線を浴び続けることで体に現れる影響は、どれも私たちの老化をうながすものばかり。特に女性が嫌うシミやシワはほとんどが紫外線によるもの。外で働く機会が多い人ほどシミやシワができやすく、注意が必要。日本でも北と南では、年間の紫外線量が1.5~2倍ほど違っています。例えば、鹿児島に住む女性は秋田の女性よりシミが約20歳、シワが約6歳早く発症するとか。紫外線による肌の老化を「光老化」といい、いかに紫外線をカットするかが、見た目年齢の若さを保つカギとなっています。
特に、過度の日焼けは、ヒリヒリと痛く、水泡ができたり赤く腫れ上がったり。こうなると日焼けとは言えずヤケド。急性日光皮膚炎ともいい、病院に行くことになります。もちろん、水泡や赤くはれた部分は、そのままシミの原因にも。
一方、紫外線は細胞を酸化させる「活性酸素」を発生させ、免疫力を低下させる働きもあり、単に皮膚の老化が早まるだけでなく、寿命にも影響する可能性があります。肌への影響以外にも、白内障や皮膚がんを招く原因のひとつと考えられており、春先の花粉のように、夏の紫外線にも徹底した対策が必要です。

紫外線の種類

紫外線には「UV-A」と「UV-B」の主に2種類があります。

UVA(400~320nm)は、皮膚の奥深くまで届いてシワやタルミの原因になります。これは、生活紫外線とも呼ばれ、曇りの日でも、ガラス窓からでも入ってきます。
UVB(320~280nm)は強い日焼けや皮膚ガンなどの原因になり、海や山での日焼けの原因になるので、レジャー紫外線とも呼ばれます。

日焼け止め選びのコツ

紫外線を防ぐには肌を露出しないのが一番。とはいえ、暑い夏にはツライもの。そこで活躍してくれるのがファンデーションや日焼け止め(サンスクリーン剤)です。
日焼け止め選びの際にチェックして欲しいのが、「SPF」や「PA」で表されるUVカット効果。
「SPF(Sun Protection Factor)」は日焼けを起こす紫外線B(UV-B:サンバーン(赤く炎症を起こした状態))を防ぐ指標で、SPF値が高いほど、紫外線を防ぐ効果が高まるという面もありますが、日本では現在SPF50+が最大値となっています。SPF20とあれば、塗らなかった部分より日焼けするのに20倍時間がかかるということです。
「PA(Protection grade of UVA)」は「UV-A:サンタン(肌色が赤くなったあと、黒くなる状態)」を防ぐ効果を表します。

+の数によって4段階に表示され、日常使いかレジャー用なのかシーンに合わせて揃えて使い分けるのが理想的です。

効果がある PA+ SPF10 通勤、通勤、通学、買い物、日常生活など
効果がかなりある PA++ SPF10~20 散歩、庭の手入れなど
効果が非常にある PA+++ SPF30~40 昼の外出、屋外での軽いスポーツなど
効果が極めて高い PA+++ SPF40~50+ 海や山、炎天下でのレジャーなど

大切なのは、一度にたくさん塗ってもあまり効果はないので、こまめに塗りなおすこと。肌の弱い人は、ノンケミカル(紫外線吸収剤不使用)を選ぶことをおすすめ。

紫外線と上手につきあう生活

まずは、肌をあまり出さないような服を着ること。紫外線の多い午前10時~午後2時の外出時は紫外線対策を万全に。

紫外線を避けるために、帽子を着用することは、顔の肌を守るだけではなく、白内障や熱射病の予防にもなります。約7cmのつばの帽子は、顔が浴びる紫外線の約60%をカットできます。
たとえ、日傘をさしていても手や顔などに日焼け止めを塗るのを忘れずに。特に、日傘の布と肌が離れれば離れるほど紫外線カット率が低下しますので、日傘の柄を短く持ってください。

汗を制するものは夏肌トラブルをも制す!

汗の主な働きは「体温調節」!その他、緊張や興奮による汗・辛いものを食べた時にかく汗・日常生活のなかで無意識にかく汗があります。汗をかいたお肌は一体、どんな状態になるのでしょうか。
汗をかいて、そのままにしておくと、肌の表面は、アルカリ性に傾いていきます。すると肌表面で細菌が繁殖しやすくなり、肌トラブルが多くなってしまいます。さらに、角質層肌表面で細菌が繁殖しやすくなったり、水分を吸収して角層がふやけてしまい、肌表面に開いている毛口と汗口が狭くなってしまいます。こうなると汗や皮脂がうまく排出されず、アセモやニキビが出来やすくなります。汗を拭くために、つい肌を強くこすりがち。お肌を傷つけ、バリア機能の低下を招くことに。汗は放置せず、こまめに、優しく軽く抑えるが大切。
また、汗を放置しておくと、汗が蒸発する際に、お肌の水分が蒸発してしまい、皮脂だけ残ったベタベタのインナードライという乾燥状態を招きます。汗は、思った以上にお肌に影響を及ぼしているようです。

夏肌のお手入れポイント

1 ファンデーションと日焼け止めで、強い紫外線から肌を守る

シミ・ソバカス対策には、ファンデーションをムラなく塗り、化粧直しを怠らないこと。日やけ止めを塗る時は、髪の生え際、フェースライン、耳など、 塗り残しやすいところを意識して、適切な量をしっかりムラなくつけること。 肌に負担をかけずに強い紫外線をしっかりカットできる日やけ止めを選ぶようにしましょう。

2 夏肌の毛穴・キメ対策は、皮膚の清潔が一番

朝晩の洗顔やメーク落としを丁寧に行い、 肌の清潔を求められるのがこの時期。 紫外線の影響で蓄積したメラニンを含んだ古い角層や、気温・湿度の上昇とともに多くなる皮脂、落ちにくい夏のメーキャップをスッキリ取り除くことで、肌に潤い・透明感が生まれ、毛穴も目立たなくなります。肌の透明感をさらにアップさせるためには、老化角質除去用の ふきとり化粧水で老化角質を積極的に取り除くと効果的です。

3 毛穴を引きしめ、シミ・ソバカスを作らせないビタミンCローション

夏バテ気味の肌は、本来の働きが低下しています。いわゆる汗で「きゅうりの塩もみ」状態。ハリがなくなり、毛穴もゆるみがち。そこで必要なのがビタミンCローション。コットンにタップリとって、丁寧にパッティング。皮脂や汗の分泌をコントロールし、気になる毛穴を引きしめます。もちろん、ビタミンCですから紫外線の気になる季節のホワイトニングもしっかりサポートしてくれます。

4 インナードライ肌とゴワツキをなくす乳液

強い紫外線や冷房の影響を受け、保湿機能が失われやすくなっています。汗ばんで潤っているように感じても、皮膚の中は乾いている。紫外線や汗、冷房の影響で乾燥しがちな肌には、化粧水と乳液をタップリ使った日々の お手入れが大切です。化粧水でいくら角層に水分を与えても、それをキープしなければ水分はどんどん逃げていくことに。乳液は肌に必要な保湿成分を補って、水分の蒸発を防いでくれます。ゴワつきがちな肌のキメを整え、やわらかにする乳液は、夏でも大切なアイテムです。

5 イキイキ肌を取り戻す夏野菜

紫外線で傷ついた細胞を修復するためには抗酸化成分がポイント。抗酸化成分とはトマトに入っているリコピンや、茄子の紫色に含まれるアントシアニンなど、色の濃い野菜や果物に多く入っています。夏の肌には夏野菜で栄養補給。出来るだけ旬の野菜やフルーツで抗酸化成分を補給してください。
また、皮膚の新陳代謝を促すためには、亜鉛(牡蠣・豚肉など)やマグネシウム(油あげ・しらす干し)などのミネラル、皮脂分泌をコントロールして肌荒れを防ぐビタミンB群、皮膚粘膜を正常に保つビタミンAなども併せて摂ると効果が高まります。

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監修:乃木田俊辰 新宿南口皮膚科 院長 医学博士 皮膚科専門医 美容皮膚科・レーザー指導専門医 東京医科大学 皮膚科兼任教授

「健康」と「美」は万人が求める究極の目標であり、人生を有意義に送る基本です。この原点を忘れずに、皮膚に関するトラブル、悩みに適切に対応できるように心掛けております。
当クリニックは、今までの皮膚科やエステとは違うオールマイティーな皮膚科です。 皆様がたの「My皮膚科」としてお役に立ちたい所存です。
URL:http://www.hifuka.com

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