ちょっとした上司の叱責などから、引きこもってしまったり、いきなり会社を辞めてしまう社員の話をよく聞く。
「心が折れる」そんな経験は少なからず誰もが持っているのでは。問題は心が折れたままになってしまう人が増加傾向あることだ。
会社での理不尽なパワハラやいじめ、試験に失敗するなど、個人にとっての逆境は、想像以上に心身を蝕むものである。端から見ると深刻ではなくても、当事者にとってはいたたまれない事態と...
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人間関係
ちょっとした上司の叱責などから、引きこもってしまったり、いきなり会社を辞めてしまう社員の話をよく聞く。
「心が折れる」そんな経験は少なからず誰もが持っているのでは。問題は心が折れたままになってしまう人が増加傾向あることだ。
会社での理不尽なパワハラやいじめ、試験に失敗するなど、個人にとっての逆境は、想像以上に心身を蝕むものである。端から見ると深刻ではなくても、当事者にとってはいたたまれない事態となる。そんな状況を客観的に語ることができるのであればあまり心配することではないが、一度、心が折れてしまうとそこからの再起はなかなか難しくなる。
こうした状況を背景に近年、ストレスや逆境への耐性、乗り越えるためのスキルこそ、人生をサバイバルする上でもっとも重要な能力として注目されはじめた。「レジリエンス」と呼ばれる逆境から立ち直る力のことである。
レジリエンスが注目され始めたのは1970年代。第2次世界大戦でホロコーストを経験した孤児たちの研究がキッカケとなった。孤児たちの追跡調査において、戦禍によるトラウマから抜け出せず、生きる気力を持てない人たちがいる一方で、トラウマを乗り越え、幸せな人生を勝ち得た人の存在が確認されたのだ。その違いはどのように発生したのか?この研究で、逆境を乗り越えた人たちの共通の傾向が明らかとなった。
「レジリエンスには、思考の柔軟性が必要な事が分かってきました。つまり、厳しい状況でもネガティブな面だけではなくポジティブな面を見いだす事ができる人が、逆境を乗り越える事ができる」と、心理学者であるイローナ・ボニウェル博士は語る。
ポジティブ思考といってしまえば身も蓋もなくなるので、現段階の研究から、折れない心のためにレジリエンスを鍛えるポイントを整理すると、
・状況に一喜一憂しない感情コントロール力
・自分の力を過小評価しない自尊感情力
・自分が成長前進していると感じる事ができる自己効力感
・失敗の中でもいつか成功すると考える楽観力
この4つが上げられる。
このポイントを強化するのが、運動と食事にある。感情をコントロールするためには、食事を小量ずつ3時間置きにする事で、脳の活動に必要なブドウ糖を一定のレベルに保つことが求められる。加えて、全力でのランニングを何度も繰り返すインターバルトレーニングもレジリエンスをUPする効果が認められている。体力の限界を乗り越える経験を通じて、自己効力感が養われるのだ。
レジリエンスについては、おそらく一般的に心が強いと言われている人ほど注意したほうがよい。ガラスと木材では壊れかたが違うように、心をどのような状態にしておくかが運命の分かれ道となる。心の折れにくさとは、ストレスに対抗するというよりは、しなやかに逆境をやり過ごす、そんな心の状態を整えるべきとレジリエンスの最新研究は告げている。
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